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震災に響いた「ピッチャー、田中」。
独断!平成プロ野球名勝負ベスト10。
posted2019/04/25 07:30
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
Kyodo News
間もなく「令和」が幕を開ける。新元号へのふくらむ期待と去りゆく平成への言いがたい寂しさ。せっかくの時代の節目に、何かを書き残しておこうではないか。平成の名勝負ベスト10 。メジャーリーグや高校野球は含まず、NPBとWBCから厳選した。
【第10位】平成16年9月18、19日 対戦なし
この年の6月に発表された近鉄とオリックスの合併に端を発し、球界は再編問題に揺れた。労組日本プロ野球選手会は合併凍結を要求し、一部経営者側は1リーグ制を念頭に再編を画策した。団体交渉は決裂し、両日の一、二軍全試合は史上初めてストライキにより中止された。選手はサイン会、握手会などを開催。過程では巨人の渡辺恒雄前オーナーによる「たかが選手」発言が大きく取り上げられ、古田敦也選手会会長の涙とともに深く印象に残っている。
【第9位】平成6年5月18日 巨人対広島(福岡ドーム)
かの有名な「10.8」のおよそ5カ月前に、平成最初にして最後の完全試合は達成された。槙原寛己の投球数は102球。奪三振7、ゴロアウト11、フライアウト9という内容であった。
鮮烈なデビューを飾った平成の怪物。
【第8位】平成11年4月7日 日本ハム対西武(東京ドーム)
平成の怪物・松坂大輔は、デビュー戦で155㎞をたたき出した。本拠地デビューを望む西武鉄道本社の意向を知りながら、東尾修監督は「東京ドームのマウンドの方が大輔には合う」とアウェーで投げさせた。
片岡篤史が空振りし、尻もちをつくシーンは、ライブでは知らない世代にとっても、動画サイトで怪物・松坂を知る象徴的な1球となっている。
【第7位】平成19年11月1日 中日対日本ハム(ナゴヤドーム)
日本シリーズ第5戦。先発の山井大介は8回まで1人の走者も許していなかったが、落合博満監督は9回にクローザーの岩瀬仁紀を投入。継投による完全試合でチームに53年ぶりの日本一をもたらした。
1点差。山井の右手のマメ。岩瀬という絶対の切り札。賛否両論渦巻いたのも、オレ流監督らしい采配であり勝ち方だった。