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もはやプロレスに男女の差はない!
レッスルマニアで起きたビッグバン。 

text by

堀江ガンツ

堀江ガンツGantz Horie

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photograph by2019 WWE, Inc. All Rights Reserved.

posted2019/04/16 11:00

もはやプロレスに男女の差はない!レッスルマニアで起きたビッグバン。<Number Web> photograph by 2019 WWE, Inc. All Rights Reserved.

(左から)ロンダ・ラウジー、ベッキー・リンチ、シャーロット・フレアーの“3WAY”決戦がメインを飾ったレッスルマニア。女子レスラーのメインは同大会史上初の試みだった。

リングに華を添える存在。

 これは、世界の女子プロレスにとって、とてつもなく大きな一歩と言える。

 アメリカにおける女子プロレスは、長らく“色物”的に見られてきた歴史があった。WWEでも先代のビンス・マクマホン・シニアの時代から女子の試合は組まれてきたものの、前座のアトラクション的なもの。男のプロレスとは、半ば別物として扱われてきたのだ。

 90年代後半から女子が“ディーバ”として脚光を浴びるようになったが、やはり男子の“スーパースター”とは違い、女性としての色気が重要視され、リングに華を添える意味合いが強かった。

 そんな流れが大きく変わってきたのが2010年代半ば。最高執行責任者のトリプルHとステファニー・マクマホンが中心となって、レスラーとして高い能力を持つ世界各国の女子選手と積極的に契約を結ぶようになり、'16年からついに“ディーバ”の呼称を廃止。男子選手と同じ“スーパースター”と呼ぶようになったのだ。

 さらに'17年からは、新たな女子スーパースター候補発掘を目的としたトーナメント「メイ・ヤング・クラシック」を開催。第1回大会では日本のカイリ・セインが優勝。第2回でも紫雷イオが準優勝に輝き、「女子プロレス界の横綱」こと里村明衣子も、準決勝で敗れながら大会MVP級の活躍を見せた。

MMAファイターから転身した“ラウディ”。

 そしてWWEにおける女子の地位を飛躍的に上げたのは、なんと言っても“ラウディ”ことロンダ・ラウジーの存在だろう。

 女子総合格闘技史上最大のスターであり、元UFC世界女子バンタム級王者のロンダ・ラウジーは、'16年12月にMMAファイターとしての選手生活に一区切りをつけ、'18年1月にWWEと契約。プロレスデビュー戦となる「レッスルマニア34」でのステファニー・マクマホン&トリプルHとのタッグマッチ(パートナーはカート・アングル)では、格闘家のプロレス転向史上最高とも言える名勝負で満点デビューを飾る。

 そして8月の「サマースラム」でWWEロウ女子王座を奪取。WWEスーパースターとしての階段を一気に駆け上がると、10月28日には、史上初となる女子スーパースターのみによるPPVビッグイベント「エボリューション」でもメインイベントを務めた。

 女子MMAをメジャーに押し上げたロンダ・ラウジーは、WWEでも“女子革命”のアイコンとして、大きく貢献したのだ。ロンダ・ラウジーの存在があったからこそ、史上初の女子による「レッスルマニア」メインイベントは実現したと言える。

【次ページ】 女子プロレス新時代の顔が集結。

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