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巨人・丸佳浩は“偉大なるメモ魔”。
マル秘の「丸ノート」、実践と効用。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2019/04/12 15:00
4月3日の阪神戦で本塁打を放つ丸。3本塁打は4月11日現在、リーグ4位タイ。
外国人選手たちが興味津々の丸ノート。
そこでその話を丸本人にぶつけた答えが冒頭のものだった。
井端元コーチの見立ては、ほぼ当たっていた。本人もそれを認めたわけである。
ただ、そこまで待ち続けられる根拠は何なのか。そこで出てくるのが広島時代から話題になっている丸ノートの存在だった。
試合中の丸の行動を見ていると、打席が終わってベンチに戻ってきたら、すぐさまノートとペンを取り出して、必ず何かをメモしている姿がある。
実は自分の打席だけではなく、ベンチやベンチ裏のテレビなどで相手投手を観察しながら、様々なメモを書き留めている。そんなメモ魔ぶりに一番驚いているのはアレックス・ゲレーロ外野手やクリスチャン・ビヤヌエバ内野手という外国人選手たちで、「いったいマルは何をあんなにメモっているんだ?」と興味津々なのだという。
本人によると、そうしてメモを書き留めるようになったのは、2016年のシーズンからだった。
「その打席で気づいたことを書き留めています。もちろん配球も記録しているんですけど、むしろ大事にしているのは打席での感覚ですね。それをメモで残して、対戦するときに読み返しています」
自分で感じとった相手の特長やクセが重要。
ルーズリーフのノートは、9分割の配球表とメモ欄で構成されている。
もちろんその投手が持っている球種や状況によってどんなボールを投げてくるかについては、打席ごとにスコアラーから詳細なデータが上がってくる。
何球目にどんな球がどのコースにきたかを書く配球表はそれを追確認するものだ。ただ丸が最も大事にしているのは、自分の感覚で感じとった相手の特長やクセをこと細かく書き残しているメモ欄なのだという。
そこには、投球時のクセの打席からの見え方や間合いなどの自分なりの感じ方、タイミングを取るときの感覚や球筋の見え方などが、自分の言葉で記録されている。