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巨人・丸佳浩は“偉大なるメモ魔”。
マル秘の「丸ノート」、実践と効用。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2019/04/12 15:00
4月3日の阪神戦で本塁打を放つ丸。3本塁打は4月11日現在、リーグ4位タイ。
「スコアラーさんが載せないデータが重要」
「スコアラーさんが載せないデータが重要だと思っています。書くと覚えますし、打席に入る前には必ず確認して、そこから狙い球を絞って打席に入るようにしている。特に対戦数の少ない中継ぎ投手などのリリーフ投手は取りこぼしが少なくなるように、意識的に細かく記録しています」
丸は、ノートの効能はデータの少ない投手に対してより発揮される、と強調する。
開幕から4カード目の中日2連戦が終わった時点までで、実はそれを裏付ける1つのデータがある。
11試合を消化して丸の打撃成績は40打数13安打の打率3割2分5厘で3本塁打。三振と四球はそれぞれ14個と7個だった。
もちろんここには、開幕でいきなりぶつかり、昨年までのノートの蓄積はゼロという広島戦も含まれる。そういう意味ではこの広島戦は、自分なりの分析ができないままに打席に立った。その結果が大瀬良に食らった4打席連続三振だったわけだ。
ただ、その広島戦も含めて先発投手とリリーフ投手別で割り出していくと、丸ノートの効果がはっきりと見えてくるのである。
先発とリリーフとで変わる攻略法。
先発投手との対戦成績は30打数9安打で2本塁打の打率3割。
三振と四球はそれぞれ11個と3個となる。一方、2番手以降の投手との対戦成績は10打数4安打の打率4割で1本塁打だが、三振はぐっと減ってわずかに3個で、四球は4つと増えている。
先発投手は1試合の中でも3度、4度と対戦することを想定して、配球も変化する。
それに比してリリーフ投手はその打席の勝負。自然と投手が自信を持っている球種が多く使われる傾向が出る。だから丸ノートが大切で、そこから読みとれる特長が攻略のカギに直接的に通じる。