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春の椿事と惑星球団の躍進。
マリナーズ、ドジャース打線が凄い。
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byAFLO
posted2019/04/13 11:00
フィリーズに新加入し、ホームランをアーロン・ノーラ(左)らと喜び合うブライス・ハーパー(中央右)
ドジャース打線の破壊力が凄い。
ナ・リーグで最も破壊的な打線を誇るのは、なんといってもドジャースだろう。ア・リーグのマリナーズには及ばぬものの、87得点/52失点という攻撃力は、他を圧している。
わけても打撃好調なのは、2017年の新人王コーディ・ベリンジャーだ。開幕から11試合で、打率4割3分5厘/出塁率4割9分/長打率9割7分8厘(OPS=1.468)のハイ・パフォーマンス。7本塁打、19打点もリーグトップだ。
昨年のポストシーズンで苦しんだ姿が嘘のように打ちまくり、チームを牽引している。課題は投手力だが、4月中旬に戦列復帰が予定されるクレイトン・カーショーが本調子を取り戻し、若手のウォーカー・ビューラーが順調に成長すれば、今季のドジャースはかなりの線まで進めると思う。
昨年のワールドシリーズ覇者レッドソックスや、ナ・リーグ中地区の優勝候補カブスは、投手陣に不安を抱えている。レッドソックスは、先発5本柱(クリス・セール、デヴィッド・プライス、ネイサン・イーヴォルディ、リック・ポーセロ、エドゥアルド・ロドリゲス)が10試合で46回3分の1を投げて53失点(自責点47)。これではいまのところ野球にならない。
とくに気がかりなのは、セールの球速ががたっと落ちていることで、先発第2戦のアスレティックス戦では速球の平均が90マイルに届かず、空振りを奪う率が極端に低下していた。6回を投げて三振は1個だけ。どこか故障を発生していなければよいのだが。
ダルらカブス投手陣の復調は?
カブスの先発陣も、危機的状況を示している。まともなのはジョン・レスター(3試合14回を投げて、防御率2.57)ただひとりで、ダルビッシュ有(防御率8.10)、コール・ハメルズ(5.73)、カイル・ヘンドリクス(6.48)、ホゼ・クィンターナ(10.29)の4人は本調子からほど遠い。
もともと地力のある両チームだけに、いずれ劣勢を挽回してくることだろうが、時機を失すると、長期の低迷に陥ってしまう可能性がないとはいえない。
やはりスタートでつまずいたアストロズは、投手陣が安定していることもあって、早めの立て直しが可能だったようだ。アレックス・ブレグマンやホゼ・アルトゥーベの打棒が調子を取り戻しつつあるだけに、このチームはやはり侮れない。
ブレイク・スネルを筆頭に投手陣が絶好調なレイズ、田中将大やジェームズ・パクストンが安定しているヤンキースも、ペナント争いに絡んでくるだろう。先はまだまだ長いが、ナ・リーグでフィリーズ、ア・リーグでレイズが躍進すれば、スリリングなシーズンが見られるのではないか。