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春の椿事と惑星球団の躍進。
マリナーズ、ドジャース打線が凄い。

posted2019/04/13 11:00

 
春の椿事と惑星球団の躍進。マリナーズ、ドジャース打線が凄い。<Number Web> photograph by AFLO

フィリーズに新加入し、ホームランをアーロン・ノーラ(左)らと喜び合うブライス・ハーパー(中央右)

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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 開幕して約2週間、2019年の大リーグが早くも波瀾含みの展開となっている。

 なによりも眼につく現象は、下馬評の高かったチーム(レッドソックスやカブス)がスタート・ダッシュに苦しむ一方、ほとんどノーマークだったチームが、予想を裏切る好スタートを切っていることだ。

 各地区の順位表を見てみると、最下位もしくはブービー候補だったチームが、いくつか上位につけている。

 4月8日現在、ア・リーグ東地区では、断然の最下位候補だったオリオールズが、5勝5敗とはいえ、2位につけている。中地区では、これまた弱体を指摘されていたタイガースが、7勝3敗で首位。西地区のマリナーズも、主力を放出した直後なのに、10勝2敗の好成績で首位を独走中だ。

 とくにマリナーズの98得点/61失点という数字は、春の椿事を思わせる大噴火ではないか。ティム・ベッカム(40打数16安打4本塁打)やダニエル・ヴォーゲルバック(24打数8安打5本塁打)がこんなに打つとは、予想していなかった。打線が好調な間に、投手力(とくにブルペン)の整備ができれば面白い存在になるかもしれない。

異変が少ないナ・リーグ。

 一方のナ・リーグは異変が少ない。西地区ではドジャース(8勝3敗)が、中地区ではブルワーズ(8勝3敗)が順当に首位を走り、最大の激戦区といわれる東地区は、フィリーズ(7勝2敗)、メッツ(6勝3敗)、ブレーヴス(6勝4敗)、ナショナルズ(4勝5敗)の4球団がしのぎを削っている。おや、と思わせるのは、中地区のカブス(3勝7敗)と西地区のロッキーズ(3勝8敗)が、下馬評を裏切る不調にあえいでいることぐらいか。

 なかでも注目は、新加入のブライス・ハーパーを筆頭に、リース・ホスキンス、アーロン・ノーラといった伸び盛りの選手を擁するフィリーズだ。このチームは、57得点/36失点と、投打のバランスがよく取れている。

 昨年終盤には、選手層の薄さを露呈して息切れしてしまったこのチームだが、今季はハーパーのみならず、J・T・リールムート(捕手)、アンドルー・マッカッチェン(外野手)、デヴィッド・ロバートソン(救援投手)らが戦列に参入し、層がぐんと厚くなった。ゲイブ・カプラー監督も2年目を迎えて采配に腰が入るのではないか。

【次ページ】 ドジャース打線の破壊力が凄い。

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