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桜花賞をグランアレグリアが圧勝。
影も踏ませない完璧な2馬身半差。
posted2019/04/08 11:20
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kyodo News
やはり、この馬のデビュー戦は「伝説の新馬戦」だった。
第79回桜花賞(4月7日、阪神芝外回り1600m、3歳牝馬GI)を、クリストフ・ルメールが騎乗する2番人気のグランアレグリア(父ディープインパクト、美浦・藤沢和雄厩舎、ノーザンファーム生産)が優勝。
3着に敗れた昨年12月の朝日杯フューチュリティステークス以来、中111日での勝利は、昨年シンザン記念以来で制したアーモンドアイの中89日を上回る桜花賞史上最長間隔優勝記録。勝ちタイムの1分32秒7も、アーモンドアイの1分33秒1をコンマ4秒更新するレースレコードだった。
平成最後の桜花賞で1番人気に支持されたのは、昨年2歳女王となり、年明け初戦のチューリップ賞を快勝していたダノンファンタジー(父ディープインパクト、栗東・中内田充正厩舎)だった。
この馬が唯一の敗北を喫した新馬戦を勝ったのが、グランアレグリアだった。直線が長く、力どおりに決まる東京芝1600mで2馬身突き放されての2着だった。
しかしダノンファンタジーは、未勝利、ファンタジーステークス、阪神ジュベナイルフィリーズを強い競馬で3連勝。一方のグランアレグリアは、翌週の朝日杯フューチュリティステークスで、牡馬相手とはいえ3着に敗れた。2頭の力関係は逆転した、と見る向きが多くなっていたのは当然だろう。
トライアルのチューリップ賞を叩いて、臨戦態勢も万全。朝日杯以来のぶっつけとなるグランアレグリアより断然有利に思われた。
新馬戦の結果は素質を示しているのか。
しかし昨年6月3日の新馬戦以来、10カ月ぶりの直接対決となったこの桜花賞でも、ダノンファンタジーはグランアレグリアに置き去りにされてしまった。
人間の手があまりかけられていない段階で走る新馬戦は、素質だけの争いになることが多い。グランアレグリアが持って生まれた能力が、それだけ高かったということか。
「デビュー戦で衝撃的な勝ち方をした馬は必ず出世する」という、キズナやワンアンドオンリーのオーナーブリーダーとして知られるノースヒルズの前田幸治代表の言葉が思い出された――。