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レアル撃破の新生アヤックス。
浸透するクライフイズムと育成術。
text by
中田徹Toru Nakata
photograph byMutsu Kawamori
posted2019/04/08 17:00
CL決勝トーナメント1回戦第2レグで王者レアルを圧倒。タディッチはレキップ紙で10点満点の評価を受けた。
24年経っても「ああ、アヤックスだ」
アヤックスがCLを制覇したのは、もう24年も前のこと。今の若い選手たちはまだ生まれてなかった。それでも、2019年版の彼らは、一目見れば「ああ、アヤックスだ」と分かるスタイルでプレーし続けている。
「しかし、やはり'95年のアヤックスと、'19年のアヤックスは違う。例えば、“アヤックスの10番”と言えば、リトマネンのような得点、アシストを決め、創造力があるプレーヤーをイメージするだろう。そして“アヤックスの11番”なら誰もがオーフェルマルスのようなウインガーを思い出すだろう。
しかし、今、サッカーは複雑なスポーツになってしまい、当時のアヤックスのようなプレーモデルで試合をすることが出来ない。例えば、今のアヤックスはトップ下にドニー・ファンデベークのようなボックス・トゥ・ボックスの選手を置いたり、MFタイプの選手をウイングに置いたりしている。それは、やっぱり時代の流れだろうね」
クライフが撒いた種。
レアル・マドリーとのアウェーゲームに出た14人の選手のうち、アヤックスのアカデミー(18歳でアヤックスに移籍し、リザーブチームで育ったフレンキー・デヨングを含む)出身の選手は実に8人を数えた。「CLで活躍する選手を自ら育成する」「再び欧州のトップクラブに返り咲く」というクライフの目標が叶ったのだ。
そのクライフは3年前にこの世を去った。
8年半前に「これはもうアヤックスじゃない」と書いたクライフも、先日のアヤックスを見て、きっと天国で喜んでいるでしょうね――。
そう尋ねると、ロナルド・デブールは「間違いない。それも満面の笑みでね」と我が意を得たりといった表情で答えた。