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レアル撃破の新生アヤックス。
浸透するクライフイズムと育成術。 

text by

中田徹

中田徹Toru Nakata

PROFILE

photograph byMutsu Kawamori

posted2019/04/08 17:00

レアル撃破の新生アヤックス。浸透するクライフイズムと育成術。<Number Web> photograph by Mutsu Kawamori

CL決勝トーナメント1回戦第2レグで王者レアルを圧倒。タディッチはレキップ紙で10点満点の評価を受けた。

「'94年のACミラン戦に匹敵する」

 歴史的勝利の余韻も冷めやらぬ3月半ば、雨のアムステルダム。1994-95年シーズンのCLで優勝し、翌季のトヨタカップでグレミオを倒してアヤックスが世界一になった時のメンバー、ロナルド・デブールと、私は会った。

 現役時代、攻撃的なポジションならどこでもこなし、オランダ代表でも活躍した彼は今、オランダの複数のテレビ局で解説者を務めながら、アヤックス・アカデミーの指導者をしている。オープンで実直な性格そのままに、R・デブールはチームの昔、現在、そして未来を大いに語ってくれた。

「'94年の夏、CLグループリーグの最初の試合は、前シーズン優勝チームACミランとのホームゲームだった。その試合でアヤックスが2-0で勝ち、一気に我々の名声が欧州に知れ渡ったんだ。あれでアヤックスは勢いに乗った。今回のレアル・マドリー戦は、'94年のACミラン戦に匹敵するインパクトがある」

10年先も活躍する有望株集団。

「私たちの世代はCLを勝ち上がっていくにつれ、どんどん欧州でのネームバリューを上げていった。'95年にはCLで優勝、翌年は準優勝と黄金期を築いた選手は、多くのビッグクラブから誘いを受けた。

 まず'95年の優勝直後にセードルフがサンプドリア、'96年にライツィハーとダービッツがACミランと主力選手がどんどんビッグクラブ、ビッグリーグへ移っていった。双子の兄弟であるフランクと共に私がバルセロナへ移籍したのは、'99年のことだった。このように、私たちの世代の主力選手はほとんど全員がビッグクラブでプレーした。

 今の世代は、フレンキー・デヨングのバルセロナ行きが決まり、マタイス・デリフトもビッグクラブに行くだろうけれど、多くはこれから有名になっていく選手たちだ。5年先、10年先もプレーし続ける選手が多いだろうから、将来が非常に楽しみだ」

【次ページ】 9年前の敗戦で明確になった「誇り」。

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