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名選手=名監督の系譜を大調査。
ペップ、ジダンに続くのは誰だ?
text by
寺沢薫Kaoru Terasawa
photograph byAFLO
posted2019/04/07 17:00
2018年5月にスコットランドの名門レンジャーズの監督に就任したジェラード。トップチームの監督には初挑戦ながら奮闘している。
クライフターンなんていらない。
彼のモットーは「クライフターンなんていらない」。昨今の若手には自身が目立つための「showboating(派手なプレー)」を好む傾向があるとし、それよりも「フィジカルを最大限に生かし、体を張って戦う」オールドスクールなプレーを徹底的に求める。
それをしない選手に対しては厳しい言葉で愛のムチを振るうのが彼の監督スタイルだ。
自チームの選手に対しても批判を辞さないジョゼ・モウリーニョに似たアプローチは当初ファンの間でも賛否両論だったが、徐々に選手もファンもその熱に浮かされ、チームが勝てるようになってきたことで認められつつあるようだ。
ランパードのチェルシー帰還はあるか。
モウリーニョ・ライクといえば、現役時代に彼の薫陶を受けて勝利の哲学を学んだランパードは、プレミアリーグ昇格を目指して英2部で戦うダービーで往年のチェルシーと同じ「4-3-3」を採用して戦っている。
ただ、彼が好むのはモウリーニョよりもややモダンなスタイルで、ボールを握れば後方から組み立てていくポゼッションを重視し、オフ・ザ・ボールではエネルギッシュにハイプレッシングをかけ、ボールの即時奪回を狙う“イマドキ”のサッカーを披露する。
現役時代の自分のようにダイナミックなランナーを重用する彼は、若手を積極的に起用して30歳近かったチームの平均年齢を26歳台まで若返らせた。
同時にボール支配率は昨季から約10%、パス本数も約60本上昇し、ミドルシュートの本数を増やすという“らしさ”も垣間見せつつ、ここまで7位。昇格プレーオフに向けて健闘している。
そんなランパードは、早くもマウリツィオ・サッリに解任の噂がささやかれる古巣チェルシーの次期監督候補に挙げられるなど、評価が急上昇中だ。
スールシャールのように実績なしでもビッグクラブで成功するケースもある。ダービーかチェルシーかはわからないが、彼がプレミアリーグの試合でベンチに陣取る日は決して遠くないのかもしれない。