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名選手=名監督の系譜を大調査。
ペップ、ジダンに続くのは誰だ?
text by
寺沢薫Kaoru Terasawa
photograph byAFLO
posted2019/04/07 17:00
2018年5月にスコットランドの名門レンジャーズの監督に就任したジェラード。トップチームの監督には初挑戦ながら奮闘している。
台頭する2000年代のレジェンド。
その他にも、ヨーロッパ各国で、「'00年代のレジェンドたち」は監督として頑張っている。
フランスでは、ジダンと代表で共闘したパトリック・ビエラ(42歳)がニースを率いている。現役時代最後のクラブだったマンチェスター・シティの育成部から指導者キャリアをスタートさせ、傘下のNYシティで監督を務めて'18年から母国へ帰ってきたビエラは、将来的な“本家”シティの監督候補であり、ペップの後継者候補でもある。
同じくフランスからは、クロード・マケレレ(46歳)も、17年からベルギーのオイペンでベンチを預かっている。パリSGでカルロ・アンチェロッティのアシスタントコーチとして経験を積んだ彼は、豊川雄太を1トップで起用するなど自分の色を出しながらコーチングキャリアを積み重ねている真っ最中だ。
そのベルギーの隣国オランダでは、アーセナルやバルセロナでプレーしたジョバンニ・ファンブロンクホルスト(44歳)がフェイエノールト、同じくバルサやミラン、バイエルンなどで活躍したマルク・ファンボメル(41歳)がPSVを指揮している。
いずれもオランダ代表のレジェンドだが、とりわけ注目を集めているのは監督1年生にしてPSVをここまでリーグ首位に導いているファンボメルだ。現役時代は闘将でならした彼は、持ち前のリーダーシップと熱血指導でチームを掌握。慎重派だったフィリップ・コクー前監督の頃よりも攻守にアグレッシブなチームを作り上げてサポーターを喜ばせており、着々と評価を高めている。
S・コンセイソンは緻密な戦術家。
また、ポルトでチャンピオンズリーグのベスト8に駒を進めているセルジオ・コンセイソン(44歳)もステップアップの気配を漂わせる1人だ。
昨季、就任1年目でベンフィカの5連覇を阻んでチームをポルトガル王者に返り咲かせた彼は、攻撃的なウインガーだった現役時代とは打って変わって手堅い守備から多彩なカウンターを仕掛けるチームを作っている。
いくつものシステムを柔軟に使い分ける緻密な戦術家としての顔ものぞかせており、CLの準々決勝で対戦するリバプールを破り、さらに上へと進むようなことがあれば、ビッグクラブからの引き抜きも待ったなしだろう。
'00年代にピッチで躍動していた姿が今なお記憶に新しい彼らの中から、果たして「ネクスト・ペップ」は現れるのだろうか。新世代の元レジェンド監督たちから、今後も目が離せない。