ブンデス・フットボール紀行BACK NUMBER
原口元気、浅野拓磨の試練は続く。
ハノーファーが6連敗で最下位に。
posted2019/04/05 17:30
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph by
Uniphoto Press
ここドイツは、3月31日午前2時に夏時間へ突入しました。
その時間帯、僕はベッドでネットサーフィンに興じていました。1時58分を示していたタブレットの時計が、その後再び確認すると3時2分になっているではありませんか!
「あれ? 1時間も経った?」と首を傾げた直後、「夏時間が始まったんだ……」と納得。ドイツ生活2年目、初めて冬時間から夏時間への変更を体感した感想は「損した」。1時間余計に時間を消費したわけで、朝の寝起きが悪かったのは言うまでもありません。
当日はブンデスリーガ第27節のハノーファーvs.シャルケの取材を予定していました。僕の住むフランクフルトからハノーファーまではドイツの高速鉄道ICEで2時間30分ほど。ドイツ中部地方を走る車窓はなだらかな丘と牧草地帯が連なる大自然の景色が続きますが、ハノーファー市街地に近づくと一転。ニーダーザクセン州の州都としての威厳を漂わせる歴史的建造物に、数多の人々が育んできた文化を感じ取ることができます。
春の陽光が降り注ぎながらも少し冷たい風が肌を刺しますが、ドイツの方々は太陽が顔を覗かせるとワラワラと外に出て、休日ともなると街中のオープンカフェや芽吹いた木々が生い茂る公園などに繰り出して日光浴を始めます。
標準ドイツ語を話すハノーファー市民。
ハノーファーの方々が用いるドイツ語は「ホホドイッチュHochdeutsch」と称されます。「Hoch」には「高い」、「高地」の他にも「崇高な」という意味もあり、ホホドイッチュは「標準ドイツ語」と訳されます。つまり、ハノーファーの住民が話しているドイツ語が、いわゆる標準語なのです。
ハノーファー中央駅からHDIアレナまでは、バスもしくは地下鉄を利用して約10分。しかし、今回は天気が良かったので約25分の道のりを歩いていきました。中央駅の正面を貫くショッピングストリートから市内中心部『クロプケ(Kropcke)』を抜けると、マルクト教会や旧市庁舎が建つ旧市街が広がります。
車が交通規制されている街路は歩きやすく、歴史を感じさせる建物を眺めながら歩くと観光気分に浸れます。旧市街を通り過ぎると大きな新市庁舎が姿を現し、その脇を流れるライネ川沿いを進むと、眼前に風光明媚な観光名所マシュ湖が広がります。懸命にオールを漕ぐ学生たちを眺めながら、市民がビールやワインを嗜んでいます。その横を僕はやや重い足取りでスタジアムへ向かいました。