ブンデス・フットボール紀行BACK NUMBER
原口元気、浅野拓磨の試練は続く。
ハノーファーが6連敗で最下位に。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byUniphoto Press
posted2019/04/05 17:30
シャルケ戦ではサイドバックでもプレーした原口。指揮官から絶大な信頼を寄せられるも、厳しい残留争いの渦中にいる。
いよいよ、黄信号が点灯。
とはいえ、それでも今のハノーファーは厳しい状況が続きます。今節の敗戦で、ついに17位ニュルンベルクと勝ち点2差の最下位へ転落。また2部3位との入れ替え戦に臨む16位シュツットガルトとは勝ち点6差で、7試合を残して正真正銘、残留へ向けて黄信号が灯りました。
試合後、徒歩で街中へ戻る道中、シャルケのサポーターが酒盛りする姿が目立つ一方で、ハノーファーのチームカラーである緑のマフラーを巻いた方々はまばら。夏時間になったことで試合終了時の17時半の時点では太陽の位置も高く、夜もこれからが本番なのに、なんだか活気が感じられません。
「今日も負けたんでしょ」
取材仲間と駅で別れ、小腹を満たそうとタイ料理屋さんに入ると、店のおばちゃんに「(ハノーファーで開催中の)メッセ(展示会)に来たの?」と聞かれました。「違うよ。サッカーの試合を観に来たんだよ」というと、苦虫を噛み潰したように首を左右に振っておばちゃんが言いました。
「ゼクスウントノインツィヒ(ハノーファーの愛称、96)が調子悪いと、街中の雰囲気も暗くなるのよ。聞かなくても分かるわよ。今日も負けたんでしょ」
苦境を脱したい。くすんで見える暗色の緑が、眩しくて鮮やかな新緑へ戻りますように。陽光の下、ハノーファーの地ビール『ハッセローダー(Hasseroder)』のプレミアムピルスナーをがぶ飲みしながら、このクラブの行く末に思いを馳せたのでした。