サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
結果ではなく個人を評価する試合。
ボリビア戦で上げた人、下げた人。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2019/03/27 11:40
堂安律を筆頭に既存メンバーが存在感を見せたが、香川真司ら数人は可能性を見せた。
この試合は個人の評価で語るべきだ。
いずれにせよ、森保監督の選手起用から考えても、この試合で語るべきは結果でも内容でもない。個々の選手の評価になるべきだ。
ここで気になるのが、相手のクオリティである。エドゥアルド・ビジェガス監督によれば、ボリビアは「新たなプロセスを始めたところ」であり、彼らもまた経験の少ない選手が起用されていた。日本の選手の国際的な競争力をはかるには、残念ながら物足りない相手だったと言わざるを得ない。
守備陣はボリビアにわずか3本のシュートしか許さなかった。センターバックの畠中と三浦弦太はそつなく対応していたが、コロンビア戦の昌子源と冨安健洋を上回るインパクトを残してはいない。右サイドバックの西大伍と左サイドバックの安西も、守備に追われることはなかった。
ダブルボランチを組んだ小林祐希と橋本拳人は、ボールの奪い合いで激しくバトルしながら攻撃のスイッチを入れていった。小林は主にサイドチェンジを、橋本は中央へのタテパスを供給しつつ、2列目の選手に絡んでもいった。とはいえ、この日のボリビア相手ならこれぐらいはできなければ困る、と言うこともできる。
1トップの鎌田も同様だ。時間の経過とともに周囲と連係していったが、このポジションの序列で大迫勇也に次ぐ2番手へ浮上したわけではない。鎌田に代わった鈴木武蔵とともに、可能性は感じさせたとの評価がふさわしいだろう。
香川と乾は可能性、宇佐美は厳しいか。
3人の経験者はどうだったか。
彼らもまた、序列を変えるには至らなかった。もっとも、よりレベルの高い相手との対戦では、守りながら攻めに出ていける香川と乾は貴重だ。チームの一員として機能しながら、攻撃で違いを生み出せる。彼らを起用する2列目の組み合わせは、今後も探っていく価値がありそうだ。
宇佐美は厳しいか。相手守備陣形を切り裂くような彼本来のプレーを、日本代表ではもうずいぶん見せることができていない。今回は招集されていない原口元気や伊東純也らが競争に戻ってくると、彼の居場所はいよいよ探しにくくなる。