野球善哉BACK NUMBER
菊池雄星が目論む脱・日本型投球。
「高めのストライク」を駆使せよ。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byNaoya Sanuki
posted2019/03/29 10:30
イチローの現役最終戦は、菊池雄星のメジャー初登板でもあった。彼のメジャー人生は、ここからはじまるのだ。
「いいバッターになるほど、後ろで打つ」
話を菊池に戻そう。ピッチトンネルを意識した配球の理由を菊池はこう語る。
「いいバッターになればなるほど、ミートポイントが後ろになってきます。『1、2の3』で振ってくるのであればボールの変化量で勝負できるかもしれませんが、待てる相手には手元で曲げないといけない。特にアメリカでは、始動がより遅くポイントを後ろにおいて打ってくるバッターが多いと想定しています」
そして球種を似せるためには、高めに投げ込んでいく必要がある。フライボールレボリューションがあるので、低めにはもともと打者の目が向いていない。
その状況で低めに変化球を投げても、カウントを悪くするだけだ。真ん中付近からの変化球で勝負するためにも、ストレートを高めに投げ込む必要があるのだ。
デビュー戦ではそのスタイルを出すのに苦しみ、高めのストレートを使えずボールが先行してしまった。回を追うごとに立ち直りを見せたものの、序盤に増えた球数が、結果的に5回途中での降板を招いてしまったというわけである。
菊池は29日のレッドソックス戦(日本時間30日)に先発することが決まっている。昨季のワールドチャンピオン相手に、菊池はどう「宿題」をこなしてくるか。
アメリカ本土でのデビュー戦は、球数を減らしてピッチングをデザインすることに期待したい。