サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
森保ジャパン初の「得点ゼロ」も、
香川投入で見えた大迫依存の解決策。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/03/23 11:10
昨年6月のロシアW杯以来となる“帰ってきた10番”は、得点こそなかったがしっかり存在感を示した。
“パスの出し手”になっていた中島。
ところで、中島は?
26分にドリブルシュートを記録しているが、前半の彼はパスの出し手になっていた。左サイドからのタテパスを南野がスルーし、鈴木がDFとの1対1に持ち込んだ28分の場面も、パスを供給したのは中島である。右サイドバックの室屋が敵陣に侵入できたのも、中島が起点になっていたことが関連している。
0対0で折り返した後半から、コロンビアのケイロス監督は対策を講じてきた。
右サイドバックのエリベウトン・パラシオスが高い位置を取り、57分の選手交代とともにハメスがトップ下から右サイドへスライドする。中島を守備に引っ張ろうとしてきた。
64分の失点は冨安健洋がハンドを取られたことによるPKだったが、そもそも攻撃のリズムをつかんでいたのは日本ではなくコロンビアだった。中島の攻撃性能が削がれていたのである。
香川、乾の投入で変化した中島の役割。
0対1となった直後には、森保監督も動く。65分、鈴木を下げて香川真司を送り込む。システムは4-2-3-1のままで、南野が最前線へポジションを上げ、香川がトップ下に入る。
さらに71分、堂安に代わって乾貴士が投入される。2列目は左から中島、香川、乾となった。
攻撃のメカニズムに、変化が見えていく。
前半はパスの出し手になることの多かった中島が、相手ペナルティエリアに近い位置でパスを受けられるようになった。香川がパスの中継点としてボールを散らし、乾もボールの収まりどころとして機能する。83分には中島が左サイドから内側へ持ち出し、右足のシュートがバーを直撃した。
ロシアW杯の背番号10とアジア杯の背番号10が登場したことで、背番号を8に代えた24歳が前半とは違ったプレーでコロンビアに脅威をもたらしたのである。
香川のトップ下起用は、大迫への依存度が高いという課題を解決する糸口にもなる。