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森保ジャパン初の「得点ゼロ」も、
香川投入で見えた大迫依存の解決策。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/03/23 11:10
昨年6月のロシアW杯以来となる“帰ってきた10番”は、得点こそなかったがしっかり存在感を示した。
森保監督が模索する1トップの選択肢。
コロンビア戦で1トップに起用された鈴木は、高さと強さのある相手CBとのバトルに挑んだ。ポストプレーで必ずしもボールを収められなかったものの、デビュー戦としては悪くない出来だった。
2016年のリオ五輪でともに戦った中島や南野とは、2年以上ぶりの空白を感じさせない連携を披露した。スピード豊かにDFラインの背後を取る特徴が引き出されていけば、前線の選択肢のひとつになっていくかもしれない。
南野の1トップも、非現実的ではないはずだ。鈴木と同じように彼も、DFと駆け引きをしながら裏へ抜け出す感覚は鋭い。相手のゴールにより近い位置でプレーすることにより、シュートセンスも生かせる。
帰ってきた「10」が生み出すもの。
1トップが鈴木でも、南野でも、香川なら生かすことができるだろう。中島を加えたトライアングル、堂安(または乾)を交えたカルテットの関係性も、探ってみる価値はある。相手の攻撃に規制をかけたり、スペースを確実に埋めたりする守備面でも、香川(と乾)の貢献度の高さは見逃せない。
今回のメンバーが発表された直後から、背番号10を着けるのは誰なのかが注目を集めた。
言い方を変えれば、ロシアW杯まで長く背負ってきた香川なのか、ロシアW杯後にエースナンバーを着けてきた中島なのか、ということである。おそらくそこには、香川と中島は並び立つのかとの視点も含まれていただろう。
森保監督の就任とともに、2列目は中島、南野、堂安でほぼ固定されてきた。アジアカップのカタール戦に続く敗戦を喫したからといって、彼らの可能性が否定されることはない。
ただ、香川が登場してからの25分+5分強には見どころがあった。帰ってきた背番号10を中心に様々な組み合わせにトライするのは、世代交代を停滞させることでも、チームの強化を遅らせることでもないはずである。