スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
「クソみたいなシーズン」が終幕。
凋落マドリーはジダンに夢を託す。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byUniphoto Press
posted2019/03/15 07:00
国内の戦いだけでなく4連覇を狙ったCLも敗退。レアル・マドリーが味わった屈辱はとてつもなく大きい。
残る11試合は来季の判断材料。
そして今回、ペレスの要請を受けわずか9カ月で復帰した指揮官は、就任会見で「変化を加えなければいけない」と改革の意思を感じさせるコメントを発した。
ジダンが率いた2シーズン半の間、レアル・マドリーはほとんど変わらぬベストメンバーを維持したままCL3連覇の偉業を成し遂げた。
だが新たな黄金期を築くためには、大幅なメンバーの入れ替えが不可欠だ。早くもムバッペやネイマール、アザールらの名前が来季の目玉補強として挙がっているが、その前にやるべき仕事は現有戦力の整理である。
来季のチーム改革へ向け、誰を残し、誰を放出するのか。今季の残る11試合は、そのための判断材料となるだろう。
恨み節を言ったベイルらは……。
ジダンの復帰が発表された翌日、ソラーリに干されていたイスコとマルセロはオフを返上して自主トレに励んだという。2人はいずれも今季終了後の移籍が濃厚と見られていたが、今回の監督交代によって状況が一変する可能性が出てきた。
逆にベイルやセバジョスは、ジダンに冷遇されていた恨み節を公言してしまったことを後悔することになるかもしれない。
いずれにせよ、タイトル獲得の望みなしに3カ月近い残りのシーズンを過ごすことは、レアル・マドリーほどのビッグクラブにとって拷問のようなものである。
このタイミングで絶大な人気を誇るカリスマ監督を呼び戻し、残る11試合を来季のための準備期間と明確に位置付けたことは、ペレスが珍しく見せた合理的な判断だったと言えよう。