スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
「クソみたいなシーズン」が終幕。
凋落マドリーはジダンに夢を託す。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byUniphoto Press
posted2019/03/15 07:00
国内の戦いだけでなく4連覇を狙ったCLも敗退。レアル・マドリーが味わった屈辱はとてつもなく大きい。
会長とセルヒオ・ラモスの口論。
ピッチ外の騒音も後を断たない。
イスコはアヤックス戦でベンチ外とされたことに腹を立て、スタジアムへ向かうチームとは別行動をとって規律違反のペナルティーを受けた。
アヤックス戦後には、ロッカールームで選手たちに怒りをぶつけたフロレンティーノ・ペレス会長に対し、セルヒオ・ラモスが今季の強化プランの失敗を指摘。最後は「クビだ!」「パーフェクト。金を払えば出て行ってやる」と言い合う事態にまで発展した。
なお、当のセルヒオ・ラモスは2-1で先勝したファーストレグのアヤックス戦終盤に累積警告の清算を狙ってファウルを連発。思惑どおりイエローカードを受け出場停止となっていたが、結果的にチームの敗退をスタンドから見届けることになり、嘲笑の的となっている。
モウリーニョ復帰は当てつけ?
こうした凄惨な状況下、国内メディアやファンの間ではCL敗退を境にモウリーニョの復帰を望む声が再燃しはじめていた。
だが彼はマンチェスター・ユナイテッドで結果、内容とも散々なフットボールを露呈したばかりである。いわば落ち目の監督を待望する声には、チーム再建への期待感というより話題性の提供、そして失態を繰り返す選手たちへの当てつけ的な意味合いが多分に含まれていた印象があった。
それでも現在無職の当人はまんざらではない反応を示していたが、事態は予期せぬ展開を見せる。まさかのジダン復帰である。
昨年5月末、ジダンは「今後も勝ち続けるためには変化が必要」と言い、そのためには自分が辞めることがベストだという考えから退任を決断した。
だが実際、彼が去った後のレアル・マドリーはクリスティアーノ・ロナウドの移籍を除いて大きな変化はなく、得点源を失ったチームは主力組のパフォーマンス低下も相まって散々なシーズンを過ごすことになった。
これはすべて、ジダンが予見していた通りの事態だと言っていいだろう。