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4連敗のち8連勝で悲願のW杯出場。
日本を支えた34歳・竹内譲次の魂。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byGetty Images
posted2019/02/27 17:30
渡邊雄太、八村塁らの代表入りを刺激に成長を遂げた竹内譲次。DF面でもアグレッシブなプレーを見せた。
「自分にとって最後のW杯になる可能性が高い」
8月31日に中国で開幕するW杯本大会については、特別な覚悟を持って挑もうという思いがある。
「次の2023年は、僕は38歳になります。自分にとって最後のW杯になる可能性が高いと思う」からだ。
これからの約半年間には、2006年世界選手権(現W杯)で感じたことを次の世代に伝えていくという使命があるとも感じている。
今回のW杯予選のメンバーで、日本が出た前回の世界選手権を経験しているのは竹内譲次と双子の兄・公輔だけ。当時21歳の大学生だった若い日の彼には、「その場にいることの凄さや、光栄であるということを、なかなか意識できなかった」という悔恨があるのだ。
2006年世界選手権は自国開催であり、日本は開催国枠での出場だった。
当時の世界選手権の出場国数は今回より8つ少ない24。前年の2005年に行われたアジア予選からの出場国枠は3で、獲得したのは中国、レバノン、カタール。日本はこの大会で5位だった。
「世界選手権に出ている凄さを意識できなかったのは、自分たちで出場権を獲得したわけではなかったからというのもあると思うし、自分に余裕がなかったというのもある。僕自身、先輩に付いていくのに必死で、気づいたら終わってしまった。思い返すと悔いの残る大会だった」
低迷期も動乱期も知る男だからこそ。
だからこそ今回は、W杯に出る重みを全員が共有して持つことが重要になると考えている。
「自分が偉そうに後輩に伝えられるかわからないけど、なかなかこういうチャンスはない。もちろん、これからはこれ(W杯出場)をスタンダードにしていかなければならないけれど、先のことは分からないですから」
淡々と言うが、日本バスケット界の低迷期も、2リーグが混在した動乱期も、FIBAによる制裁を受けた激動期もすべて知る彼の言葉は重い。本気。覚悟。決意。使命。責任。分かってはいても、それらをあらためて胸に刻み込む作業が日本代表には求められる。