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Bリーグ勢だけで格上相手に連勝。
W杯出場バスケ日本、躍進の秘密。
posted2019/02/28 18:30
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
AFLO
「僕たちは8連勝して、やることはやったかなと(笑)。オリンピックのことは、待つだけだと思います!」
馬場雄大はそう語り、笑顔を見せた。ワールドカップアジア地区予選(以下・W杯予選)、イラン・カタールでのアウェー2連戦に勝利。8連勝でW杯出場を決めた直後のことだ。
2006年、日本開催の大会に開催国の特別枠で出場した経験はあるものの、大陸予選を自力で突破してのW杯出場は実に21年ぶりである。
またこの快挙は、東京オリンピック出場に向けても大きな一歩となる。
バスケットボールの場合、開催国に無条件でオリンピック出場枠が与えられるわけではない。ただ今回、日本がW杯の出場権を確保したことで、開催国として出場枠が与えられることは濃厚だと見られている。
日本が最後にオリンピックに出場したのは、43年前のモントリオール大会だ。長らく冬の時代を過ごしてきた日本のバスケットボール界の風向きが、変わりつつある。
イランの反撃にも慌てずに勝利。
W杯予選最後のアウェー2連戦の時点で、FIBA(国際バスケットボール連盟)発表の世界ランキングで日本は47位だった。
21日に対戦したイランは同26位。そんな格上に97-89で勝ち切った。昨年9月のホームゲームでは、公式戦では実に13年ぶりの勝利に沸いた相手である。
馬場はこう振り返る。
「これまで、日本人は身体ではなくて、頭を先に動かすプレーがすごく多かったと思います。それが今回の予選を通して、試合に臨む際の姿勢やオーラのようなものが、ガラッと変わりました。イラン戦の最後に追い上げられた時間帯も、以前なら追いつかれてしまったと思いますが、今回は踏ん張れましたから」
チームを率いるフリオ・ラマスHC(ヘッドコーチ)も、リオ五輪ベスト4のオーストラリアから金星を挙げた試合に次ぐ内容だったと認めるほどの会心のゲームだった。
同63位のカタールとの試合では、日本代表は試合の登録メンバー12人全員が出場した。負傷交代を強いられた太田敦也以外の11人が得点し、96-48のダブルスコアでW杯出場権をつかんだ。
ただ、今回の予選が、厳しい状況からスタートしていたことを忘れてはいけない。