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4連敗のち8連勝で悲願のW杯出場。
日本を支えた34歳・竹内譲次の魂。
posted2019/02/27 17:30
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Getty Images
日本のバスケットボール史上に残る“4連敗からの8連勝”。
そのすべてをコートの上で味わった34歳のベテランは、至上命題として挑んできたFIBAワールドカップ(W杯)出場権を手にした喜びもつかの間、すでに次のターゲットに立ち向かう覚悟をみなぎらせていた。
W杯アジア地区予選window6の中東2連戦でイランとカタールを撃破し、グループ2位でW杯出場切符を手にした男子バスケットボール日本代表が、2月25日に帰国した。
安堵のムードに包まれる中、手にしたものの重さを力説したのが、竹内譲次(アルバルク東京)だった。
「1年前の今ごろは、8連勝することも、この場に座っていることも予想できなかったですし、自分たちへの自信もなかった。でも今はこのチームに皆が自信を持っている」
帰国直後に行われた会見で、竹内譲次は穏やかな口調でそう言った。34歳のベテランは、1次予選からの全12戦に出場し、試合を重ねるごとに存在感を増していった。W杯予選を通じて最も成長した選手として挙げられるほどだった。
207cmの30代選手がここまで走るとは。
とりわけ、八村塁と渡邊雄太の海外組2枚看板を欠いて臨んだ最終のwindow6での輝きは素晴らしかった。日本は強豪のイランに一度もリードを許すことなく97-89で勝利し、カタールには96-48のダブルスコアで勝利した。
竹内自身はイラン戦では17得点をマーク。特に後半のファストブレイク連発のインパクトは強烈で、207cmの30代選手にここまで走られては、相手の心もくじけるというものだった。
スタッツでは2人合計で50点を決めたニック・ファジーカスと比江島慎の陰に隠れる格好となったが、オフザボールを含めた彼の確かなプレーが、アカツキファイブをより強固なチームに仕立て上げていた。
そしてカタール戦ではさらに圧巻の速攻があった。第1クォーターの中盤、ファストブレイクからダンクを沈めたのだ。立ち上がり、5-9とされたカタールが流れを変えるべくタイムアウトを取った後の時間帯。彼にとって珍しいダンクには、カタールの思惑を封じ込めるのと同時に、誰にも有無を言わさずW杯に行くのだという気迫がこもっていた。