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4連敗のち8連勝で悲願のW杯出場。
日本を支えた34歳・竹内譲次の魂。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byGetty Images
posted2019/02/27 17:30
渡邊雄太、八村塁らの代表入りを刺激に成長を遂げた竹内譲次。DF面でもアグレッシブなプレーを見せた。
シーズン中の代表戦に苦戦した前半戦。
予選全体を通じて尻上がりに調子を上げた竹内譲次だが、window1、2ではうまくいかないことが多かった。
2017年11月から始まった今回のW杯アジア予選は、これまでのようなセントラル方式ではなく、初めてホーム&アウェイ方式が採用されていた。
window1、2の4試合は、Bリーグのスケジュールの間に組み込まれる日程で、経験豊富な彼でも戸惑いがあった。
「代表活動が初めてシーズン中に入ったことで、最初の頃はそのリズムになれることができなかったんです。代表は所属チームと違うシステムで戦うので、そこにアジャストすることがうまくできなかった」
'17年W杯予選から就任したフリオ・ラマスHCの苦悩も、ベテランならではの機知で感じ取っていた。
「コーチも僕らと同じ心境で、やはり苦しんでいたと思います」
しかし、ラマスHCは負けが続いて沈みがちなときでも、ビデオミーティングで守備が機能しているシーンをピックアップして選手に見せ「この守備が素晴らしい」などポジティブな言葉を掛けた。竹内譲次も次第に代表でのリズムをつかんでいき、少しずつ自信をつけていった。
八村や渡邊の加入に加え精神的にも好転。
日本が奇跡の反転攻勢に出る転機となったのは、昨年6月29日のwindow3のオーストラリア戦だ。Bリーグ勢はシーズンが終わり、代表モード一色に転換。そこに、ニック・ファジーカス、八村、渡邊が加わった。
しかし、チームには単純な戦力アップ以上のメンタル的な向上もあった。それは、崖っぷちからの勝利が生み出した自信だ。
「4連敗して後がないという状況が、自分たちに良い方向に作用したと思います。そこでオーストラリアに勝ったのが大きく、その後は自分自身、持ち味をだんだんと代表チームで出せるようになりました」