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C大阪に完封されたヴィッセルの困難。
“VIP”の本領発揮はいつになるか。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/02/25 11:40
新加入のダビド・ビジャはピッチ上で何かを起こそうとしていた。VIPの本領発揮はいつになるだろうか。
VIPの3トップが万全には機能せず。
それにしても、である。
ヴィッセルのフアン・マヌエル・リージョ監督は、4-3-1-2のシステムでイニエスタを"偽の9番"のようなポジションに、ビジャを左ウイングに、ポルディを右ウイングに置いた。「ビジャとポドルスキの2人で5人(のDF)を引きつけ、両サイドから裏を取る」との狙いを持っていたが、彼ら3人がコンビネーションを発揮するシーンは限られ、ペナルティエリア内で決定的なシュートを放つことはなかった。
その代わりに左サイドバックの初瀬亮、右サイドバックの西大伍がフィニッシュのシーンに現われ、どちらも際どいシュートを浴びせた。2列目、3列目からの飛び出しは、リージョに言わせれば「ビジャやポドルスキのポジショニングやプレーの振る舞い、行動がそういった効果をもたらした」ということになり、「最後のプレーの精度が課題だった」との見立てもそのとおりではある。
タッチライン際に張り出すポジションについて聞かれたポルディが、「我々が得点をしていれば、戦術的にどうだったかというような質問は出なかっただろう」と話したのも、ひとまず納得できる。
攻撃のテンポが変わらない問題。
そのうえで言えば、この日のヴィッセルはミディアムテンポの憂鬱にさらされた。リージョのもとで“バルサ化”を推し進めるチームは、自陣からしっかりとビルドアップをしていく。サイドチェンジや1本のタテパスも挟むが、基本的には足元から足元へボールが動いていく。
その結果として、攻撃のテンポが一定なのだ。ビジャの背後へのランニング、イニエスタのドリブル、ポルディのカットインなどがアクセントになるものの、セレッソ戦の攻撃は相手の目先を変えられるものではなかった。