話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
相手の研究が進化するミシャ2年目。
札幌はこの宿命をどう解決するか。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/02/26 10:30
ミシャ2年目の公式戦第1戦は走る湘南相手に屈した。だからといってそのスタイルを崩すことはないだろう。
湘南の戦略の前に後手を踏む。
湘南は札幌をよく分析し、冷静に対処していた。
前半はやや引き気味からのカウンターでチャンスを作った。この試合、札幌のボールポゼッションは59%を記録したが、湘南としては“持たせていた”感覚だっただろう。危険なチャナティップとジェイにそれぞれ松田天馬と坂圭祐がつき、彼らにボールが入っても自由にさせなかった。チャナティップがピッチに倒れるシーンが多かったが、それは湘南の厳しい守備の証だった。
そして後半、湘南は戦術を切り替えた。
引き込んでからのカウンター狙いではなく、前からプレスを仕掛けたのだ。ボランチの齊藤未月、松田らがプレッシングにいった際、倒された荒野拓馬がエキサイトするシーンがあったほどの激しさだった。
球際の厳しさ、豊富な運動量をベースとした湘南の圧力に、札幌はほとんどボールをつなげなくなる。ビルドアップでリズムが崩れ、ボールを失い、カウンターを食らった。
苦し紛れのロングボール。
ミシャが指摘したようにボールを失う「怖さ」からか、ジェイを目がけてロングボールを蹴る攻撃が増えた。それも苦し紛れのロングボールが多いため、周囲の連動が遅れてセカンドボールを拾えず、攻められる悪循環が続いた。
後半、札幌のシュートはわずかに3本。湘南は7本に増えたが、その数字が表すように札幌はほとんど攻撃の形を作ることができなかった。
キャプテンの宮澤裕樹は、攻撃を封じられた後半をこう見ていた。
「後半は相手の推進力をもろに受けてしまって、カウンターを食らうことが多くなった。それを繰り返しているうちに、後ろが耐え切れなくなった。相手よりも点を取りにいくサッカーをしているので、逆転するまでもっていけないのが残念でした」