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パスが来なくても裏を突く俊足FW。
松本山雅・前田大然はJ1で化けるか。
text by
塚越始Hajime Tsukakoshi
photograph byHajime Tsukakoshi
posted2019/02/13 10:30
前田大然は俊足を生かしたドリブル突破が持ち味。東京五輪世代としてJ1の舞台でどれだけアピールできるか。
反町監督の織り込み済みとは。
大宮戦は、3-4-2-1のシステムでぶつかり合うミラーゲームの構図になった。目の前の選手(マーカー)とのマッチアップを制するか、マークを剥がすことで優位性を作り出せる。「個」の差がより明確になるなか、松本は劣勢を強いられ、なかなかチャンスを作り出せなかった。
前田は「もちろん勝ちたかったですけど、ある程度想定内でした。ここから上げていければいいです」と、相手とはチーム作りのアプローチが大きく異なるだけに、それによって生じた「現状の差」はしっかり整理できていた。
松本を率いて8年目の反町康治監督も試合後の記者会見で、その辺りは織り込み済みと言っていた。
「これまでは体に負荷をかける、基礎体力に目を向けて取り組んできました。だから今、選手からそういう声(体力的に厳しいなど)を聞くのは当たり前。ここからはそういったことをなくして、1日1日、良い環境のもと、ゲームに近いトレーニングを増やし、短時間で厳しくやっていく形に持っていきます」
また、前田は味方の「生かし方」の具体的なイメージも掴めたという。例えば新戦力のレアンドロ・ペレイラ、町田らとどんな相乗効果を生み出すかだ。
町田との関係性については「裏へ抜ければ、パスを出してくれるので、ボールが来なくても、どんどん裏を狙って行きたいと思います」と語り、レアンドロ・ペレイラとは「ヘディングが強いので、その背後を常に狙っていきたいです」と、狙いを挙げていた。
新加入の町田が挙げた課題。
指揮官はこの試合、あえて前田と新戦力を組ませることで、課題を洗い出すことを念頭に置いていたことがうかがえる。ここからは、個の力をチームのために最大限に発揮するため、細部の詰めが大切になる。「鹿児島キャンプからは練習試合が中心になり、もっと選手間でコミュニケーションを取っていきたいです」と、前田も頷く。
そして町田も前田との関係性について、次のような課題を感じ取っていた。
「自分はコンビネーションを大事にしないと生きてこない。もっと『自分はこうだよ』というのを見せていきたいです。(前田の生かし方について)もうちょっと、大然の動きをギリギリまで見て。J1はスペースが限られているので、その中でも小さな隙を見つけて、見逃さないようにしていきたいです」