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パスが来なくても裏を突く俊足FW。
松本山雅・前田大然はJ1で化けるか。
posted2019/02/13 10:30
text by
塚越始Hajime Tsukakoshi
photograph by
Hajime Tsukakoshi
驚異的な瞬発力でマークを置き去りにし、ゴールへ向かって行く。観ているだけで、楽しいし、面白い。松本山雅FCの前田大然は、躍動感溢れる一挙手一投足でワクワクさせてくれる、数少ない選手の1人だ。
坊主頭がトレードマークの21歳のスピードスターが2019シーズン、自身初めてJ1のステージに立つ。
2月9日のNACK5スタジアム大宮でのプレシーズンマッチ・大宮アルディージャ戦、前田は3-4-2-1の2シャドーの一角で先発出場。持ち前のスプリントを生かして前線のスペースを突くシーンを何度か作った。
その一方でCFがブラジルのシャペコエンセで昨季11得点をマークした新加入のレアンドロ・ペレイラ、シャドーの相棒は前ジェフ千葉の「10番」町田也真人との初めての組み合わせだった。それもあって前田がスプリントを仕掛けても、2人をはじめとした周囲が反応しきれない。
松本の7番はパスをもらえず、フォローも得られず、孤立するシーンが続いた。
連係面はまだまだこれから。
ただ後半に入ると町田が距離感を埋め、前田の近くでプレーするシーンが増えた。そしてゴール前で、惜しいシーンも作り出した。
大然が走り出す。それを先にいかに察知して、ゴール前でクオリティの高い連動性を生み出すか。2人、3人、さらに……そういった高度なコンビネーションを追求できるかが、今季の松本の課題になることを感じさせた。
大宮戦後、前田は次のように振り返った。
「チームとしても、個人としても、何もできませんでした。これまでのキャンプ(試合前日まで清水で2次キャンプだった)で僕たちはずっと走って追い込んできた一方で、向こう(大宮)はJリーグ勢との練習試合を行なってきたということで、試合勘の差は出ました(※松本のJクラブとの試合はこの準備期間で初)。僕らはまだまだこれからなので、開幕までにしっかり合わせていきたいです」
静かな口調で語った前田は、2月16日までの鹿児島キャンプをはじめ、J1リーグ開幕までの2週間の準備が最も重要になると強調した。
「今の自分の体、チームの状態を把握できたので、あとは良くなるだけ。新しい選手が加わり、まだそこまで(連係面などの)練習もしていないので、練習試合で高めていきたいです」