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ラッシュフォードがマンUで覚醒中。
ミスを恐れず愛される地元っ子。
 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byUniphoto press

posted2019/02/12 11:30

ラッシュフォードがマンUで覚醒中。ミスを恐れず愛される地元っ子。<Number Web> photograph by Uniphoto press

スールシャール体制で勢いを取り戻しつつあるユナイテッド。ラッシュフォードもその1人だ。

ファン待望の地元っ子。

 地元出身選手の活躍は、巨額の移籍金で獲得された大物とは違う特別な喜びと誇り、そして共感をファンに与えてくれる。

 7歳からマンUのアカデミーで育成されたラッシュフォードは、オールド・トラッフォードから10km程度しか離れていない地で生まれ育った。“スールシャール体制キックオフ”から3分で決めたカーディフ戦での先制点や、トッテナム戦で奪った勝敗を分けるゴールなどは、マンUサポーターはことさらに興奮を覚えたはずだ。

 無敗記録が10試合に伸びたレスター戦で、ラッシュフォードは決勝ゴールを決めたが、スールシャールの下でリーグ戦6点目となった。すでに、モウリーニョ体制下の今季4カ月間で記録したリーグ得点の2倍。リーグ戦での先発回数もレスター戦が8試合目と、前体制下での9試合に迫る増加ぶりだ。

若手発掘への意欲の差。

 筆者は勝負師としてのモウリーニョに強く惹かれてきたが、「チーム生え抜き」へのこだわりのなさだけは、以前から残念に思えて仕方がなかった。

 チェルシー第1期には、キャプテンに指名したジョン・テリーと強い信頼関係を築いた。だが、その2004年当時のテリーは、一軍メンバーに定着して4年が経過していた。就任が4年ほど早かったら、果たして二軍の練習からテリーを引き上げただろうか?

 チェルシーがユースレベルでも優勝争い常連ではなかった当時を考えれば、若手をチェックすることなく、即戦力の購入を望んだように思えてならない。

 話をマンUに戻す。モウリーニョから暫定で指揮を受け継いだスールシャールは、カウンターで攻撃に人数を割く戦い方のみならず、生え抜きを軸とするチームの作り方においても、クラブの伝統を知るOBだ。

 短期逗留が増える一方のプレミアリーグで、スールシャールはノルウェー人ながら1996年から11年間も所属し続けたのだから、立派な「マンUファミリー」の一員と言える。2007年の現役引退後は、二軍監督として若手指導を経験した。

 そんな彼が、若き生え抜きFWの存在価値を意識しても不思議はないだろう。例えば、成長を促すために、モウリーニョ前監督が用いたメディアを介した叱咤は、リスクの高い手段のため想像し難い。

【次ページ】 FWの心を知るスールシャール。

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