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真の王様はネイマールかムバッペか。
PSGとカタールが費やす大金と思惑。

posted2019/02/12 08:00

 
真の王様はネイマールかムバッペか。PSGとカタールが費やす大金と思惑。<Number Web> photograph by AFLO/Getty Images

PSGの象徴となったネイマールとムバッペ。2022年W杯開催地であるカタールの思惑もそこにはある。

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グレアム・バーガー

グレアム・バーガーGraham Berger

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AFLO/Getty Images

華の都パリにあって中堅クラブに過ぎなかったPSG。
だが、カタールによる買収が全てを変えた。
W杯開催を控え、中東の小国は何を狙っているのか。
無限の予算をつぎ込んで獲得した2人のエースに
託された使命とは何なのかを、現地から読み解く。
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 ネイマールとムバッペ。

 パリ・サンジェルマンのカタール人オーナーが煌びやかな2人のスターを獲得したのは、欧州制覇に近づくためだ。ただそこには別の意図もある。ペルシャ湾岸の人口267万人ほどのこの小国は、'22年にW杯を開催する。

 それまでに、国家につきまとう嫌なイメージを覆い隠し、明るい光を照らす存在として、彼らに期待しているのだ。

――'17年3月8日、バルセロナの本拠地カンプノウのアウェー用控え室は、耐え難いほどの静寂に包まれていた。選手たちは頭を抱えてうつむき、誰ひとり状況を飲み込めずにいた。カバーニがときおり吐き出すスペイン語の悪態だけが、葬式のような静けさをかすかに破るものだった。

 '16-'17シーズンのCLラウンド16で、PSGはこれ以上ない屈辱を味わった。バルセロナとの第1戦を4-0と圧勝した後、敵地での第2戦は思わぬ展開に。87分までにトータルスコア5-3と迫られ、そこからわずかな残り時間に3点を奪われて、信じがたい大逆転劇を許してしまったのだ。試合後、PSGのアルケライフィ会長は「悪夢だ」とメディアにため息を漏らした。

7年間で約10億ユーロ投資。

 '11年にカタールの王族が国家の投資機関を通じてPSGを買収した時、彼らはこんなシナリオを思い描いてはいなかった。オイルと天然ガスで莫大な富を得た国は、この7年間におよそ10億ユーロを費やして、多くの一流選手を獲得してきた。

 狙いはふたつ。ひとつは、大きな成功とは無縁だった華の都のクラブをCL上位の常連とし、近い将来に頂点を極めること。もうひとつは、カタールの印象を改善することだ。

「カタールがPSGを買収した理由は?」

 フランスの経済紙『Les Echos』のインタビューで、地政学の専門家パスカル・ボニファスはその質問にこう答えた。

「彼らは国際的な知名度を手にしたかった。国家を守るために、武器を買うのではなく、世界的なスポーツに投資したのだ。長期的な戦略である」

【次ページ】 PSGブランドは失敗と同義に。

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