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米大学でプレーするテーブス海。
「NBAが自分の視野に入ってきた」
posted2019/02/11 09:00
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Yoko Miyaji
去年9月、日本代表の活動を終え、チームメイトより少し遅れて新天地ノースカロライナ大ウィルミントン校(UNCW)に到着したテーブス海を迎えたのは、文字通り“嵐”だった。
ウィルミントンは9月半ばにハリケーン・フローレンスに襲われ、UNCWでも全校に避難命令が出されたのだ。
テーブスはウィルミントンから250kmほど北にあるノースカロライナ州ダーラムの友人の家に避難した。当初は1週間ほどで戻れる予定だったが、ハリケーンによる洪水の被害が大きかったため、避難生活はさらに1週間伸び、その間、チームとしての練習をすることもできなかった。
2週間たってもUNCWのコートが使えなかったため、チャペルヒルにあるノースカロライナ大のコートを借りて練習を再開。UNCWのヘッドコーチ、CB・マクグラスがかつてノースカロライナ大のアシスタントコーチだった縁のおかげだった。10月上旬にウィルミントンに戻ったときには、シーズン開幕がすぐ目の前に迫っていた。
ほかのチームに比べて2週間出遅れてしまったわけだ。
テーブスの場合は夏の練習に参加できなかったこともあって、この遅れは特に大きかった。波乱万丈の大学キャリアのスタートだった。
「プレーするよりも考えすぎてしまって」
「ここに来て避難しなくてはいけないなんて、まったく予想していなかったです」とテーブス。
「僕にとってはこれも、乗り越えなくてはいけないひとつのハードル。運が悪いのかどうかはわからないけれど、いつも何か乗り越えなくてはいけないことが出てくるんです。
ただ、僕はそのおかげで成長してこられたと思ってもいます。いつでも練習しなくてはいけないこと、乗り越えなくてはいけないことがあったおかげで、満足することはなかったので」
出遅れて時間が足りないなか、テーブスをチームのスターティング・ポイントガードに起用したいと考えていたコーチ陣は、テーブスにできる限りのことを教え込もうとしていた。
チームのシステムを理解し、チームメイトを知り、さらに高校より一段高いレベルにも慣れなくてはいけなかった。
「最初のうちは、一度に色々と教えられて圧倒されてしまってました。プレーするよりも考えすぎてしまって、最初のころの練習ではあまりいいプレーができていなかったと思います。それでも、このときに多くを学んだことは、僕にとってプラスになりました。
おかげで成長できたし、今の僕は、去年夏のジョーンズカップのときと比べても、まったく違う選手だと言えます」