リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
レアルの凋落が一向に止まらない。
ベティス相手に支配率26%の惨状。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2019/01/17 10:30
機能不全に陥ったレアル・マドリー。ロナウドの不在が目立つが、原因はひとつだけではない。
ロペテギ時代よりもあらゆる数字が悪化。
昨年10月29日、R・マドリーはロペテギを解任してソラーリに暫定的にチームを預けた。暫定監督は国王杯とCL、リーガを合わせた直後の4試合を4勝15得点2失点で乗り越え、14日後に正監督の座を勝ち取った。
それを機にR・マドリーは立ち直るはずだった。監督交替はそのために行われたのだから。しかし、チームも、その軌道も、何ひとつ変わっていない。
昨年11月13日のソラーリ着任以降、R・マドリーはリーガで7戦している。相手は先のベティスを除くと、すべて下位のチームだが、結果は4勝1分2敗8得点8失点。不調の原因のひとつとされる得点不足は、1試合平均にするとロペテギ時代より悪化している(1.4点から1.14点へ)。
同様にロペテギ時代からの課題である「アウェイゲームにおける守備」は、改善どころか劣化に傾き、今年最初のビジャレアル戦までの3試合で5失点を喫している。そこで、ベティス戦では前述のとおり守備に人数を割いたのである。
ちなみに、前半戦の総得点28は2006-07シーズンと並ぶ少なさで、これより酷い数字を探すとなると、直近でも1990-91シーズン(24点)まで遡らねばならない。
また、アウェイゲームの失点ランキングでは最下位ウエスカ(24点)、15位セルタ(20点)に次ぐ3位(19点)につけている。そして、首位バルサとの差はロペテギが解任されたときの7ポイントから10ポイントに開いてしまった。
さらに、CLでは最終節のCSKAモスクワ戦を落とし、「グループ首位が同最下位に2度敗れる」という不名誉な大会新記録を作ってしまった。
R・マドリーを応援する人たちがひどく憂えるのは、もっともである。
クリスマスシーズンに空席が。
年明け最初のホームゲーム第18節レアル・ソシエダ戦は、スペインの“クリスマスシーズン”最終日にあたる「東方の三博士の日」に行われた。サンタクロースならぬ三博士がプレゼントをもってきてくれる、子供にとっては1年で最も重要な日のひとつだ。
キックオフは18時30分だった。食事時間の違いを考えると、日本の15、16時ぐらいの感覚だろう。R・マドリーが大好きな子を持つ親は「スタジアムで生観戦」を贈ることも考えたに違いない。
ところが、8万1044人収容のサンティアゴ・ベルナベウに足を運んだ観客は、老若男女合わせて5万3412人しかいなかった。右端から左端までまるまる空席という列がスタンドで散見されたのは、ここ十数年で初めてだったという。クラブを愛してはいても今のチームのサッカーは我慢ならないというソシオが、不満を行動で示したわけだ。