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選手権決勝で勝敗分けた僅かなズレ。
青森山田が流経柏に勝った点とは? 

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安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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posted2019/01/15 12:15

選手権決勝で勝敗分けた僅かなズレ。青森山田が流経柏に勝った点とは?<Number Web> photograph by Takahito Ando

全国高校サッカーの頂点としての決勝にふさわしかった青森山田vs.流通経済大柏。才能ある選手達と名将同士の激突は素晴らしい試合に。

互角に見えたが、ピッチ上では……。

 流通経済大柏の選手たちは、互角ではなく「不利」と感じていたのだ。

 確かに流通経済大柏は得意の前線からのプレスを仕掛けるも、青森山田のDFライン、そして攻守の要である天笠のパスセンスに剥がされてしまうという印象はあった。狙った所で奪えないという細かい手応えのズレが、徐々に選手心理の中に影を落としていった可能性は考えられる。

「最初の失点の時間帯が重かった。本来、気にするべき所ではなかったのですが、自然とメンタルが下向きになってしまい、相手が上向きになった。あの失点が勝負の分かれ目でした……。もっとそこでボール保持ができれば……」

 流通経済大柏ベンチは、前半を終えて引き上げて来た選手達の変化を感じ取っていた。

「暗かった。まだ同点なのに、選手達の表情が下を向いていた」と流通経済大柏のコーチが語ったように、ハーフタイムで顔を上げさせるべくアプローチしたが、一度生じた相手との差を埋めることができなかった。

ほころび始めた、流経柏の守備。

 後半に入ると、青森山田の両サイドアタックが活性化。左の檀崎、右のバイロンが持ち前の突破力を存分に発揮する展開となった。

 流通経済大柏は守備の要衝である藤井海和(かいと)と八木のダブルボランチのところで攻撃を遮断したかったが、「前半のボールの奪われ方はまだ相手陣内の深い位置だったので問題なかったのですが、後半は繋ごうとしたが、ボールを上手く繋げなかった。(ピッチの)中央付近でボールを奪われてしまったことで、すぐにバイロンや檀崎にボールを送り込まれてしまっていた」と熊澤が語るように、繋ぎの部分でエラーが生じていたのだ。

 そこを青森山田の出足の鋭い守備に突かれ、さらに素早くサイドに展開されたことで、本田裕一郎監督が「カーテン(相手の攻撃を遮る守備陣形)がサイドまで引っ張られてしまった」というように、守備陣が大きく広がった状態になってしまっていたのだ。

【次ページ】 同点から攻勢続いた青森山田。

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