“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
選手権決勝で勝敗分けた僅かなズレ。
青森山田が流経柏に勝った点とは?
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/01/15 12:15
全国高校サッカーの頂点としての決勝にふさわしかった青森山田vs.流通経済大柏。才能ある選手達と名将同士の激突は素晴らしい試合に。
両校ともに攻め合う激戦に!
両者は立ち上がりから激しいバトルを繰り広げた。
最初のチャンスを作ったのは流通経済大柏。
5分にMF熊澤和希の右ロングスローから、青森山田・CB三國ケネディエブスがクリアしたボールに反応したCB関川郁万が、ダイナミックなフォームで左足ハーフボレーシュート。これはDF橋本峻弥が身体を張ってブロック。7分には、左サイドを突破したMF岡本竜のクロスを、中央でFW左部(さとり)開斗がヘッドで狙うが、これはバーの上。
すると今度は8分に青森山田が猛攻を仕掛ける。
MFバスケス・バイロンが右サイドを突破すると、折り返しをMF武田英寿がシュート。これをCB須永竜生が身体を張ってブロックすると、こぼれをFW佐々木銀士がシュート。これも熊澤が身を挺して防ぎ、こぼれをさらに佐々木が狙うが、これは流通経済大柏の1年生守護神・松原颯汰のファインセーブに阻まれた。
19分、流通経済大柏の左部のシュートは、青森山田MF澤田貴史がお腹でブロック。27分にはボランチの天笠泰輝、武田、バイロンと繋ぎ、バイロンからのパスを受けた檀崎がカットインから強烈なシュートを放つが、枠を外れた……。
本当に僅かなズレが勝敗を決した。
一歩も譲らない展開の中、流通経済大柏が得意のセットプレーで均衡を崩す。
32分、右CKを得ると、MF八木滉史のキックをファーサイドで待ち受けた関川が矢の様なヘッドを突き刺し、先制に成功した。
だが青森山田もすぐさま反撃する。
40分に自陣右サイドでボールを受けた天笠が、タメを作ってから右サイドのスペースに抜け出した佐々木へ縦パス。佐々木が正確なファーストタッチで前を向いて仕掛けると、折り返しをファーサイドに飛び込んだ檀崎が冷静に蹴り込んですぐさま同点に追いついた。
前半のスコアは1-1。
一見、がっぷり四つの戦いに見える。しかし、ピッチ上に居た選手達の感覚は若干違っていた。
そのズレが勝敗をはっきりと分ける要因となった。
「先制されたけど、互角だと思った。苦しい戦いなのは間違いなかったけど、戦う姿勢や負けない気持ちは強かった」と青森山田のCB二階堂正哉が振り返ったのに対し、流通経済大柏の熊澤の目には違った印象に映っていた。
「前半で良くないと思った。サイドハーフと自分達のボランチのスペースも広かったし、セカンドボールも拾えなかった。競り合いの部分で青森山田のほうに分があった。かなり押されている状況の中で1点獲れたけど、カウンターを阻止できなかった」