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J1昇格を後押しする大宮の化学反応。
戦力は十分、あとは高木監督の手腕。
posted2019/01/01 09:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
J.LEAGUE
興味深い化学反応が、期待できるのではないだろうか。
'18年シーズンのJ1昇格を逃した大宮アルディージャが、石井正忠監督の後任に高木琢也監督を指名した。
高木監督は'06年の横浜FCコーチ就任をきっかけに、同チームの監督としてJ1昇格を果たし、その後は東京ヴェルディ、ロアッソ熊本で監督やコーチを務め、'13年から'18年まで6シーズンにわたってV・ファーレン長崎を指揮した。
実に13シーズン連続でJリーグの指導現場に立ち、そのうち10シーズンはJ2で戦っている。戦力の拮抗が著しいJ2を勝ち抜くうえで、51歳の指揮官が培ってきた経験はアルディージャに頼もしい。
アルディージャの西脇徹也強化本部長は言う。
「J1昇格という目標を託すのにふさわしい監督であるのはもちろんですが、ACLの出場権をつかむ、J1でタイトルを獲る、といった将来的な目標も見据えてチームを作っていきましょう、という話をしています。選手が入れ替わっても揺らがない土台を、高木監督とともに作っていきたいと」
高木監督の長崎は健闘した。
高木監督のもとでJ1に初めて挑戦した'18年のV・ファーレンは、8勝6分20敗で最下位に終わった。ただ、J1が18チームとなった'05年以降の最下位チームでは最多となる勝点30を獲得した。年度が違えばJ1残留を果たすこともできた。
39得点は6位のFC東京、7位のセレッソ大阪に並ぶもので、13位の湘南ベルマーレ、14位のサガン鳥栖、16位のジュビロ磐田を上回っている。クリーンシートも8試合を数えた。彼我の保有戦力を比較すれば、健闘という二文字が当てはまるといっていい。3バックをベースとしたシステムはコレクティブで、初めてのJ1でも粘り強く戦うことができていた。
西脇強化本部長が続ける。
「V・ファーレンのサッカーには、しっかりとした形がありました。システム的なものはもちろん、勇気を持って仕掛けていく姿勢があり、選手たちは自信を持ってプレーしていると感じました。それは、トレーニングで繰り返し植え付けられていったものだと思います」