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大きなチャンスつかんだF1界の俊英、
P・ガスリーの笑顔と闘志。
text by
今宮雅子Masako Imamiya
photograph byNoriaki Mitsuhashi
posted2018/12/27 17:00
2017年にスーパーフォーミュラでシリーズ2位となると同年9月にトロロッソでF1デビュー、来年はレッドブルというスピード出世の22歳。
2チームは共同開発で良好な関係に。
バーレーンGPの4位は、トロロッソとホンダが"自分たちの手にあるもの"を結集し、ベストを引き出すとこんな成績が可能になるという意味で、チームの士気を高める力強いブーストになった。ガスリーの笑顔が、チームの心をいっそう晴れ晴れとしたものにした。
'18年、ガスリーとホンダはトップ3チームの一角を占めるレッドブルで挑戦をともにする。空力の鬼才エイドリアン・ニューウェイが技術を率いるチームは"F1界随一"のマシンを自負する。'10~'13年には4年連続でドライバー、コンストラクターとも選手権を制覇してきた。そんなチームがトロロッソを通してホンダの進化を認めた。新たなステージを、田辺は冷静に受け止める。
「トロロッソと組むことが決まったのは昨年の9月と遅い段階だったので、お互いにあるもの同士で進めざるを得なかった部分がありますが"どう組み合わせれば最適か"というかたちで、きちんと話し合いながら仕事ができてきたと思います。
来年に関しては、チームはトロロッソとレッドブルのふたつでも、彼らの要求はレッドブル・テクノロジーで一本化され、我々はそれに応えるかたちで共同開発を進めています。ただし当然、レッドブルの実績や体制をリスペクトすると、新たなプレッシャーは感じています」
2018年のホンダは確実に成長していた。
市販車の世界にも存在しない最先端技術の"パワーユニット"を採用したF1。1年遅れて'15年から参戦したホンダは、想像以上に苦しんだ。'18年も、ドライバーひとりあたりに許された基数を大幅に超えて投入している――ただしこれまでと明らかに異なるのは"思いがけず壊れてしまった"ターボチャージャーやエネルギー回生システムを交換するのではなく、開発を加速するため意図して新しいコンポーネントを投入している点だ。今年のホンダはグリッド降格のペナルティを背負っても、レース中に止まってしまうことはない。パワーも大きく向上した。