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DeNA球団社長時代の池田純が、
自腹で自宅にブルペンを作った理由。 

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池田純

池田純Jun Ikeda

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posted2019/01/07 07:00

DeNA球団社長時代の池田純が、自腹で自宅にブルペンを作った理由。<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

筆者は球団社長時代、グラウンドに下りて選手の目線に立つことを心がけていたという。

桑田さんの自宅にはブルペンがある。

 だんだんと投げ方のコツもつかめてくると、マウンドからしっかりとしたボールをキャッチャーミットに投げ込めるようになりました。次に思ったのは、三浦大輔選手(当時)たちがよく査定の際に言葉にしている「ボール1個分の出し入れ」の大変さを自分の体で知ってみたい──。

 そんな思いでいたときに、あるテレビ番組で、桑田真澄さんの自宅が紹介されていました。そこにはなんと本物のマウンドと、そこから18.44m離れたところにホームプレートが設置してありました。いわば、桑田さん専用ブルペンです。

 これだ! と思いました。

 ちょうどその頃、子どもの教育と環境のために、私の育った地元に居を構えていました。都心から離れ、最寄り駅からもかなり遠いのですが、山あいにあって、若干ですが敷地に余裕のある場所です。庭の一部をうまいこと活用すれば、ブルペンが作れるんじゃないか……。

ブルペンは10万円、天然芝も。

 そこで、ベイスターズの二軍施設をメンテナンスしている業者さんにお願いして、ブルペンを1つ、作っていただいたのです。費用は約10万円。もちろん自腹です。

 二軍施設からボロボロになって使い物にならないプレートとホームべースを1セット分けていただき、細くて狭いですが、自宅にブルペンが完成しました。18.44mという距離の遠さ、またこの距離で、ストライクゾーンのボール1個分の出し入れをする投手の技術のすさまじさを実感することができました。

 ちなみに、自分専用ブルペンのあたりには、天然芝を貼ってみました。当然これも自腹。横浜スタジアムに天然芝を導入できるのか検討していた時期だったので、芝を管理することがどれほど大変か、体験してみようと思ったのです。

 実際やっていて気づいたことは、芝の育成には日照時間がとても大切だということでした。同時に、雑草などの手入れの大変さも思い知りました。

 芝を植えるスペースにはまんべんなく、一定時間陽が当たっていることが必要です。その点、横浜スタジアムはスタンドがかなりせり上がっているためグラウンドに日陰ができやすく、芝が十分育つには日照が不足している構造であることがわかり、私は天然芝導入を断念するに至りました。

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