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蘇った新日本プロレスのエース。
棚橋弘至は2019年も輝けるか? 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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photograph byEssei Hara

posted2018/12/22 10:00

蘇った新日本プロレスのエース。棚橋弘至は2019年も輝けるか?<Number Web> photograph by Essei Hara

何度も挫折から這い上がってきた棚橋弘至。次の決戦1.4東京ドームでは、また新しい棚橋弘至を見せてくれるのか?

G1での優勝について。

 だが、棚橋は「あきらめない。もっと強くなる」と宣言して、夏には言葉通りG1クライマックスでの優勝を勝ち取った。

 8月12日に、日本武道館で行われた棚橋と飯伏幸太の優勝決定戦は、私としては年間最高試合だった。プロレス大賞の年間最高試合賞は、6月9日の大阪城ホールでのケニー・オメガとオカダの時間無制限3本勝負に落ち着いたが、3本勝負という戦い方が私にはマイナスの方に思えたからだ。

 そのことは、オカダ自身も反省していた。実際に、戦ってみると3本勝負は今のプロレスには合わない、難しいと感じたのだろう。

ベテランになっての身の処し方。

 棚橋は、負けたプロレスラーがどん底からどうやって這い上がっていくかを見せつけた。

 大河ドラマのように長く感じられる心の葛藤の日々。

 棚橋はずっと「疲れない」というのをモットーにしてきた。だが、ここのところ「疲れた」という言葉も口にする。もちろん、すぐに否定の言葉を加えるのだが、「疲れた」という言葉がいつも先行するようになった。疲れないはずの男が「疲れた。疲れない」になり、やがて「疲れた。疲れた。疲れない」となり、徐々に疲れを否定する言葉をつなぐまでに時間がかかるようになってきている。

 折れてしまっても不思議でないくらいボロボロに傷んだ肉体。年を重ねるというのはこういうことなのか……と自らの身体に言い聞かせるように学習していく、辛い日々が続いていた。

 棚橋は、そんな年齢との戦いを「自分の体に合ったプロレスをする」と割り切ることで、ようやく乗り越えてきたのだ。

 体の痛みや辛さはその年齢になってみなければ実感することは難しい。若い時には考えもしなかった苦しみが、実際にはある。

【次ページ】 猪木、長州、藤波らの時代とは。

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