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多くのオファーから、なぜ長崎を?
手倉森監督「ものすごい強さで勝つ」
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKei Totsuka
posted2018/12/11 10:30
高田明社長(左)らと就任会見で握手する手倉森誠新監督(中央)。J2に戻るクラブを再び上昇気流に乗せられるか。
J2をものすごい強さで勝ちたい。
言葉先行ではもちろんない。具体的なイメージも描く。
「'18年のJ1リーグでは、良く走って粘り強く戦えていた。初めてのJ1の舞台で、逞しく粘り強く戦う覚悟は沁みわたっていた。僕自身は日本のトップ・オブ・トップでの仕事も経験させてもらい、戦術や戦略、選手のクオリティを高める引き出しはあるとの自信を持っている。
走れるチームがもっと走れるように、J2にいるうちにJ1とも戦えるようなものを刷り込んで、J2をものすごい強さで勝ってみせたいなと思っています」
V・ファーレンのファン・サポーターと長崎県民には、何とも頼もしい所信表明である。一方で、'19年のJ2を構成するライバルチームには、強烈な宣戦布告と映るに違いない。
J2がタフなリーグであることは、手倉森も理解している。理想と現実の折り合いは、つけていくつもりだ。ベガルタやリオ五輪代表でチーム作りのキーワードとした「柔軟性と割り切り」は、V・ファーレンにも持ち込まれるのだろう。
「将来的には見て楽しいサッカーをやりたいけれど、J1に戻ることを優先した戦いもしないといけない。タフで逞しいサッカーを、J2ではやらなきゃいけない」
大量補強なしも発奮材料に。
V・ファーレンの保有戦力は、J2でも上位とは言えない。
トップチームの編成に関わっているジャパネットホールディングスの高田旭人代表取締役社長兼CEOによれば、「選手にはこのクラブで長くプレーしてほしいので、編成はできるだけ複数年という大前提で組み立てている。'19年も極力'18年の編成で、ファンがワクワクするような選手の獲得を1つ、2つ、3つ、と考えている」と話す。
J1昇格のための大量補強はしない、ということだ。
それもまた、手倉森のモチベーションである。
「私が率いたリオ五輪世代は、U-20ワールドカップの出場を逃していたことで谷間の世代と呼ばれていました。でも、AFC U-23選手権で優勝して、リオ五輪でもグループリーグは突破できなかったけれど、日本サッカーの可能性を示すことはできた。そして、現在の日本代表にはリオ五輪世代がたくさんいます。刷り込むべきことを刷り込めばそれぐらいになると、僕が証明してみせた」