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レッズの栄光は「1-0」が似合う。
天皇杯制覇に凝縮された浦和イズム。
posted2018/12/10 18:00
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Getty Images
冬空の夜に浦和レッズの応援がやむことなく響き、歓喜で揺れる真っ赤な埼玉スタジアム。しぶとく守り、スコアは1-0。12月9日の天皇杯決勝は、昨季のACLファイナル(第2戦)を見ているようだった。
場所もスコアも全く同じ。スタメンの顔ぶれもほとんど変わらない。ラファエル・シルバ(現・武漢卓爾=中国)と遠藤航(現シント・トロイデン=ベルギー)の代わりに、浦和ユースから昇格した新人の橋岡大樹と神戸から移籍してきた岩波拓也が加わったのみ。
フォーメーションこそ違うものの、前線から興梠慎三、武藤雄樹がプレスをかけ、中盤で長澤和輝、青木拓矢がボールを奪取、最終ラインでは槙野智章、阿部勇樹が体を張ってシュートをブロックした。ベガルタ仙台に2倍以上のシュートを打たれても、ゴールを割られる気配はなかったと言っていいのではないか。
「僕らは試合巧者」(長澤)
「カップ戦の戦い方ができている。点を取られないように試合を進めることができた。攻守両面で全員が共通認識を持っていた。僕らは試合巧者だった」
昨季、2度目のアジア制覇に大きく貢献した長澤の言葉は自信に満ちていた。
今年4月下旬に急きょ就任したブラジル人の名将オズワルド・オリヴェイラ監督はチームを劇的に変化させるよりも、崩れかけていたACL王者の土台をしっかり固め直した。
4試合連続でクリーンシートを守り、天皇杯の頂点に駆け上がった。準決勝の鹿島アントラーズ戦でも粘り強い守りで勝利を呼び寄せている。CKから1ゴールを奪って逃げ切り。昨季のACL準決勝第2戦と同じパターンで、決勝へ駒を進めていた。