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あの一瞬が無ければ湘南が16位に!?
岡本拓也、超ファインプレーの真実。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/12/03 17:00
あの一瞬だけでなく、他のプレーでも獅子奮迅の活躍を見せていた岡本拓也。
身体を張らない選手は湘南にはいない。
筆者「どうしたらこれを習慣化させられるのですか? 『身体を張って守る』という言葉はよく使われるし、言葉で言うは簡単ですが、それを『当たり前』にすることは相当難しいことだと思います」
岡本「もう日常なんです。普段の練習からちょっとしたゴール前でのバトルだったり、紅白戦でも、あの場面で身体で滑ってブロックに行かない選手はウチには居ないですよ(笑)。
曹貴裁監督も良く言うのですが、『最後のところで滑ってやられるなら仕方がない』と。逆にそこで滑らなかったときの方が、曹監督にめちゃくちゃ怒られますし、今ではもう周りのチームメイトが許してくれないくらいに当たり前のプレーですよ(笑)」
筆者「よく『ディフェンスの基本』は、むやみに滑ったら切り返しでかわされてしまうため、『一発で行くな!』とか、『遅らせろ!』と言われることもありますよね。
そんな固定観念がある中でもあえて『滑る勇気』を出すというのは、より周りの状況を冷静に見ることができていないと成し得ないことだと思います。下手したらハンドになってPKを与えることになるし、切り返しでかわされたら、『なぜ飛び込んだんだ!(怒)』と言われかねないと思います」
岡本「その通りですね。でも、あの場面だったら……『(シャビエルが)絶対に(シュートを)打つ』という確信がありましたから。それにたとえ切り返されても、山根か(坂)圭祐がもう1回反応して滑ってくれると思っていましたし、あの瞬間は僕しかいなかったので。
そういうところを観てもらえると、選手としても凄く嬉しいですよね(笑)。ありがとうございます」
PKが3回も出た試合で、別格の勇気。
筆者「今日の試合、ハンドやファールでPKが両チーム合わせて3回も生まれてしまった状況の中でそれができるのは凄いことだと思います」
岡本「でも湘南でなら、あれは誰がそこにいても、ああいうプレーをすると思いますよ(笑)」
筆者「曹監督だけではなく、チームメイトから指摘されますよね。チーム共通認識になっているからこそ、そこは絶対に看過されない、と」
岡本「そうなんです。歳上、歳下関係なくめちゃくちゃ言われますし、僕も言っちゃいます(笑)。こうみんなで要求し合えているのが良いと思います」