“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
あの一瞬が無ければ湘南が16位に!?
岡本拓也、超ファインプレーの真実。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/12/03 17:00
あの一瞬だけでなく、他のプレーでも獅子奮迅の活躍を見せていた岡本拓也。
後半、湘南にとって嫌な状況に……。
だが、後半は名古屋の圧倒的な攻撃力の前に押し込まれる時間が続き、名古屋は66分にFWジョーがペナルティーエリア内で倒されてPKを獲得。これをジョー自らが決めて1点差に詰め寄ると、74分にはDF和泉竜司の右からのクロスを、ペナルティーエリア内で湘南DF坂圭祐が痛恨のハンドリング。再びジョーがPKを決め、2-2の同点とされた。
湘南にとってはこのまま引き分けで終われば残留が決まるが、勝ち越されると鹿島アントラーズvs.サガン鳥栖の一戦が同点に終わった時点で、一気にプレーオフ圏内確定となる緊迫した状況に追い込まれた。
この状況下における84分に、冒頭で述べた岡本の「意図した習慣化」の象徴的なシーンが生まれた。
敗北寸前の一瞬に飛んできた岡本。
名古屋のMF前田直輝が右サイドからカットインしてきて、寄せる杉岡を交わしながら、ペナルティーエリア角から左足インフロントでゴール前にクロスを送り込む。
このボールにゴール中央で待っていたジョーが飛び込むと、坂と山根、GK秋元陽太が3人掛かりで競り合い、秋元が体勢を崩しながらもギリギリのところでパンチング。3人ともその場に倒れ込んだ。
気迫のクリアだったが、秋元が弾いたボールは上空にふわりと舞い上がり、放物線を描きながら5mほど後方にいた、完全フリーのFWシャビエルのもとへ緩やかに飛んでいった……。
一気にプレーオフ圏内に引き落とされる逆転ゴールを浴びる決定的なピンチだ。
まさに崖っぷちの状況だった。
しかし、ゆっくりと落下して来るボールをしっかりと捉えて、左足シュートを打とうとするシャビエルに、矢の様に全力で向かって行ったのが岡本だったのだ。