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あの一瞬が無ければ湘南が16位に!?
岡本拓也、超ファインプレーの真実。
posted2018/12/03 17:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
「意図した習慣化」
これは日頃からある行動を意識的に取り組むことで、身体と意識にその工程を染み込ませ、無意識のうちにそのアクションを起こせるようになることを指す。それは瞬間的なことから日常的なことまで当てはまる。
サッカーにおいて、「意図した習慣化」は個人の技術の向上、チーム戦術の向上における重要な要素の1つとなっている。これらは毎日のトレーニングで積み上げられるものであり、そのトレーニングは、身体を動かすだけでなく、常に意識と洞察力、理解力という頭脳的な要素も伴っていないといけないとされる。
J1最終節・名古屋グランパスvs.湘南ベルマーレの一戦を取材していた時のことだ。
湘南のMF岡本拓也のあるプレーを観て、湘南というチーム、選手個々の中にこの「意図した習慣化」が、しっかりと植え付けられていることを改めて確認できた。
そして、試合後にその時のプレーの身体的・心理的な状態を岡本に質問してみたところ、彼の口から重要なキーワードが次々と出てきた。
岡本の口から出たその言葉こそが、今年ルヴァンカップを初制覇し、J1残留を手にすることができた湘南の、大きな強さの秘密になっていたことを感じた。
話の核心に入る前に、まず「絶対に負けられない一戦」となった名古屋戦を振り返ってみたい。
前半は完全に試合を支配したが。
湘南にとって引き分け以上でJ1残留が確定し、負ければプレーオフ圏内転落の可能性が大きかったこの試合、岡本は右のウィングバックとしてスタメン出場していた。
前半は、FW山崎凌吾と梅崎司&菊地俊介の2シャドーの3枚を軸に、高い位置でボールを動かしていた。岡本と杉岡大暉の両ウィングバックが積極的に仕掛けることでサイドに起点を作っていくサッカーがハマっていたのだ。
19分に左サイドでボールを受けた梅崎が縦のスペースにボールを送り込むと、フリーで抜け出したMF金子大毅の折り返しを、菊地俊介が鮮やかなダイレクトボレーで押し込んで先制に成功。
さらに36分には梅崎のスルーパスに抜け出したDF山根視来が名古屋のGKランゲラックに倒され、PKを獲得。これを梅崎が冷静に決めて、リードを2点に広げた。