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優等生クラブ・キエーボと悪役会長。
残留争い常連の強烈なしたたかさ。

posted2018/11/28 11:00

 
優等生クラブ・キエーボと悪役会長。残留争い常連の強烈なしたたかさ。<Number Web> photograph by Getty Images

現会長のカンペデッリ氏。1929年設立のクラブは2001年にセリエA初昇格すると、2007-2008シーズンを除いて、セリエAに残留。

text by

弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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Getty Images

 キエーボは地味さでいえばリーグで1、2を争うクラブだ。2001年のセリエA初昇格以来、品行方正なクラブで通ってきた。

 ところが今季は、選手取引の不正会計発覚による勝ち点剥奪に始まり、相次ぐ監督交代とクラブを取り巻く状況は不穏と混迷を極めている。

 どうやら優等生クラブに“裏”の顔があったらしい。

 発端は今年2月の民放人気バラエティ番組の告発だった。彼らはサッカー情報サイトと協力して、移籍市場での選手取引の闇を暴いた。その中心にいたのがキエーボだった

 キエーボは、過去4年間の選手売買の取引だけで、6000万ユーロ以上の黒字を出した。だが、これはどう考えても不自然な額なのだ。

 6000万ユーロという数字は、地方クラブにとって目の眩むような数字だ。

 だが、彼らの常連顧客にセリエAの強豪はいないし、欧州のビッグクラブがキエーボの誰かに大金を積んだこともない。キエーボの移籍市場での商いは自前の育成部門で育てた若手選手を扱ったものがほとんどで、“将来のアズーリ入り間違いなし”といった高評価を受けている者がいれば話は別だが当然そんな逸材は都合よく出てこない。

若手選手の売買で粉飾決算。

 キエーボは、本来移籍金を設定してもゼロ評価にしかならない10代の若手選手を“水増し”した評価額で売買し、共謀クラブと結託して虚偽の利益計上を図っていた。帳簿上に大きな数字が並べば、それだけ大きな商売や実績があると見なされる。早い話が粉飾決算だ。

 水増しの対象になった選手たちはユースの一軍にも上がれなかった者が多く、自分に大枚400万ユーロの値付けがされていることなど知らされないまま、4部や5部の下部カテゴリーへたらい回しにされていた。

 悪事には限度がある。キエーボの主な共謀相手だったチェゼーナ(当時セリエB)は昨季限りで破産した。

【次ページ】 32歳で会長就任の好青年が今や。

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