あのベントゥーラが迷采配。

　ただし、チームは今季も開幕から苦戦続きだ。

　品行方正なことが売りだったのに疑惑の影響で夏の市場ではキエーボに来たがらない選手が続出し、ろくな補強ができないまま黒星を重ねた。

　地元メディアは順位表の勝点欄に並び続ける「－（マイナス）」表示を気温に見立てて、「大氷河期のキエーボ」と呼んだ。

　今世紀初頭のクラブ黄金時代の英雄であるダンナ監督が8試合で6敗し解任の憂き目に遭うと、カンペデッリは後任にいわくつきの人物を連れてきた。

　10月11日、招聘されたのは昨年の秋に全イタリア国民を悲嘆の涙に暮れさせた前イタリア代表監督ベントゥーラだった。

“どのツラ下げて現場に戻ってきやがった”的ムードが国中に充満する中、70歳の老将はいきなり初日から「キエーボと私にとって残留とは、純粋なリビドー（欲）なのだ」とポエムチックな台詞を吐き、周囲を不安がらせると、立て続けに3連敗を喫した。

　4戦目の12節ボローニャ戦に引き分けて勝点を「0」に戻したのは良かったが、試合直後のロッカールームでいきなり「諸君、私は今日限りで辞める。ムードの問題だ」と辞任宣言したものだから、選手もクラブフロントも開いた口が塞がらない。

主将も名指しで批判するほど。

　就任からわずかひと月、ベントゥーラの辞任が正式に発表されたのは、彼の率いたイタリア代表がロシアW杯予選プレーオフでスウェーデン相手に本戦出場を逃した日からちょうど1年たった11月13日だった。

　巷では「ベントゥーラはよほど黄色と青（※キエーボとスウェーデンのチームカラー）がお気に召さないらしい」といった皮肉が飛び交った。

　折角新しい監督の下で心機一転仕切り直しだ、と精魂込めてプレーした選手たちは激怒した。とりわけクラブに情熱を注ぐ鉄人主将ペリシエは自身のインスタグラムで逃げ出した指揮官を名指しで批判した。

「プロ生活22年の間に大概のものを見聞きしてきたつもりだが、来た初日からもう逃げ出す気満々だった監督とやらにはさすがにお目にかかったことがなかった。ベントゥーラのような監督はもう御免だ」

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