フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
更に進化した五輪女王ザギトワ。
ヘルシンキGPで見せた圧倒的能力。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byJoosep Martinson/ISU via Getty Images
posted2018/11/05 17:00
これまで多くの五輪女王が、若くしてモチベーションを失い、消えていった。ザギトワは違うのか?
さらに進化していた表現力。
SP『オペラ座の怪人』では、3ルッツにつけたループが1回転になってしまったが、それ以外はノーミスで、トップに立った。
フリー『カルメン』は、後半に入れた3ルッツ+3ループが両方とも回転不足になったのが唯一のミスらしいミスだった。
昨シーズンの『ドン・キホーテ』は、テンポの良いメロディに合わせてポンポンとジャンプを跳ぶ印象の強いプログラムだったが、今季の『カルメン』はキャラクター表現がより充実し、さらに進化している。また四肢が以前より意識的に使われ、振りが大きく、指先、足先まできれいに伸びるようになった。
ジャンプの配置を変えた理由。
特に女子の場合、身長が6センチ伸びたならジャンプに何らかの影響が出るのは、このスポーツでは普通のことだ。
ジュニアの体型のころは3+3を軽々と跳んでいたのに、シニアになってからジャンプの難易度を落としてくる選手も珍しくない。
だが現在のところ、ザギトワにはその心配はなさそうである。
昨年ほどの勢いはないものの、相変わらずジャンプの難易度は落とすことなく、安定した技術をここでは見せた。唯一大きく変わったのは、プログラムの中のジャンプエレメンツの配置である。
昨シーズンのザギトワは、SPで3度、フリーで7度のジャンプエレメンツを全て10%ボーナスがつくプログラムの後半に組み込んでいた。
だが今季のプログラムは、SPで1つ、フリーで3つのジャンプ要素を後半に入れたのみ。それには理由がある。