フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
更に進化した五輪女王ザギトワ。
ヘルシンキGPで見せた圧倒的能力。
posted2018/11/05 17:00
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Joosep Martinson/ISU via Getty Images
「平昌オリンピックから、身長は5~6センチ伸びました。でもどうしてみんな、私の身長のことを聞きたがるのかしら。誰でも成長するでしょう。ノーマルなことだと思うけど」
アリーナ・ザギトワはSP後の記者会見で、平昌オリンピックからどのくらい身長が伸びたのかと聞かれると苦笑しながらロシア語通訳を通してそう答えた。
GPヘルシンキ大会では、2位に18ポイント近くの差をつけて優勝し、オリンピック女王の貫録を示した。昨シーズンはまだまだジュニアっぽい幼さを残していたのに、この大会ではシニア女子らしい落ち着きと存在感のある演技で、別格の貫禄であった。
競技に戻ってきた五輪女王。
今年の2月。15歳だったザギトワが最大のライバルだったエフゲニア・メドベデワを下し、オリンピックチャンピオンになった。だがその1カ月後、ミラノ世界選手権ではジャンプミスを連発し、表彰台を逃して5位に終わったザギトワ。
これまで過去に何度か、まるで彗星のように現れて消えていったティーンエイジャーのオリンピックチャンピオンが誕生したことがある。ザギトワも、その1人に名を連ねるのかという懸念もあった。
だが彼女は今シーズンも競技に戻ってきた。
ごく普通に1人の競技者として。
「オリンピックシーズンの次の年は、精神的に厳しいだろうと予想はしていました。平昌オリンピックの後、2週間休みを取りました。それから合宿に参加して、また以前のように練習を続けています」
16歳になったザギトワは、今シーズンへの準備について、会見でそう語った。