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大谷翔平を預かる新監督の履歴書。
失敗からの再起はフロント主導か。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2018/10/29 07:00
2019年のエンゼルスを率いるオースマス監督。チーム事情は複雑だが、どれだけ総合力を高められるか。
フロント主導の潮流に乗る?
数字の分析処理に長けた「フロント主導」のチーム構築法は、2000年代に入ってアスレチックスのビリー・ビーンGMが先駆者となり、プロ野球経験のないセオ・エプスタイン(レッドソックス、カブス)やジョン・ダニエルズ(レンジャーズ)が成功したことでメジャーリーグの主流となっている。
昨今は試合状況に関係なく、何でもかんでも一発長打を狙ってアッパースイングをしたり、とにかく継投策ありきの投手起用をするため、「先発投手=Starter」という言葉がいつの間にか「はじまりの投手=Opener」に置き換えられるような時代だ。チーム構築法だけではなく、試合運びや野球の技術的なことまで「フロント主導」で進んでいる。
エンゼルスはどうか?
実はエンゼルスは数年前、「現場主導」のマイク・ソーシア監督を守るため、急進的な球団改革を断行したジェリー・ディポトGMを解雇した過去がある。ソーシア監督が去った今、後任のエプラーGMは、前任者が完遂できなかった「フロント主導」のチームを作り、現場にも積極的に介入する時代の潮流に乗ろうとしているのではないかと思う。
「今日勝つこと」を毎日やる。
「我々は勝つためにここにいる。選手たちへのメッセージは『今日、勝とう』です。昨日のことなんてどうでもいいし、他の人がどう言おうが気にならない。他のチームのことも気にならない。私はロサンゼルス・エンゼルスのことしか考えていない。『今日、勝つこと』。それを毎日やっていれば、大丈夫だ」
と再び、就任会見のオースマス新監督。
スーパースター、マイク・トラウト外野手の実力を生かせぬシーズンはいつまで続くのか。けが人多発の投手陣をどうやって建て直すのか。トミー・ジョン手術のリハビリをしながら「打者・大谷」は成功するのか。未来の殿堂選手ゆえに不調でも出場させなければならないアルバート・プホルス一塁手/指名打者の起用法をどうするのか……などなど。
簡単には解決できない問題が山積みのエンゼルスで、「文武両道」のオースマス新監督は生き延びることができるか――。