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大谷翔平を預かる新監督の履歴書。
失敗からの再起はフロント主導か。 

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2018/10/29 07:00

大谷翔平を預かる新監督の履歴書。失敗からの再起はフロント主導か。<Number Web> photograph by AFLO

2019年のエンゼルスを率いるオースマス監督。チーム事情は複雑だが、どれだけ総合力を高められるか。

木田、稼頭央、黒田とプレー。

 4球団を渡り歩く間には、野茂英雄(当時タイガース)や現日本ハムGM補佐の木田優夫(当時タイガース)や今年限りで引退した西武の松井稼頭央(当時アストロズ)、元広島の黒田博樹(当時ドジャース)ら日本人選手ともチームメイトだったことがある。

 現役引退後はパドレスのフロントに入り、2014年からの4年間はデトロイト・タイガースの監督を務めた。2013年には母方がユダヤ系だった関係でWBCイスラエル代表の監督も務めている。

 タイガースの監督としては通算314勝332敗(勝率.486)、監督初年にア・リーグ中地区で優勝したものの、地区シリーズで敗退。残る3年は2位1回、最下位2回。「最初の監督経験」は山あり谷ありの成績に終わっている。

監督に与えられる再起の機会。

 メジャーリーグでは「最初の監督経験」で失敗した人材に、「Second Chance」=再起のチャンスを与えるケースがよくある。

 たとえばクリーブランド・インディアンスのテリー・フランコーナ監督。彼は1997年、37歳でフィラデルフィア・フィリーズの監督に就任したものの、「最初の監督経験」では勝率5割以上のシーズンが一度もないまま通算285勝363敗(勝率.440)に終わっている。

 フランコーナ監督が再起のチャンスを掴んだのは2004年(就任は2003年の冬)、レッドソックスでのことだった。

 同年、レッドソックスを86年ぶりのワールドシリーズ優勝に導いて汚名を返上すると、松坂大輔や岡島秀樹がいた2007年にも2度目の優勝を果たすなどして、同チームでは通算744勝552敗(勝率.574)と見事にSecond Chanceをモノにした。

 現在指揮するインディアンスでも通算545勝425敗(勝率.562)でア・リーグ中地区3連覇中、2016年にはア・リーグ優勝も果たしている。

 いつだったか、フランコーナ監督はこう言っている。

「人間というのは失敗から何かを学ぶもの。監督の仕事は日々の打順や先発投手の名前をオーダー表に書き込むだけではなく、彼らが今どんな調子で、どんな問題を抱えているのかを知ることだ。おまけに(選手枠の)25人だけではなく、フロントの人々とも連携を取っていかなければうまく行かない。だから、どんな失敗をするかが貴重な経験になるんだ」

【次ページ】 アストロズ監督も不遇の時が。

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