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南野拓実を育てたザルツブルク。
ステップには最適、長居は……?
posted2018/10/16 11:00
text by
杉山孝Takashi Sugiyama
photograph by
Uniphoto press
8月、この10年間で9度目となるチャンピオンズリーグ(CL)予選敗退を喫した。7年連続で本大会出場を逃したのだが、今季はリーグ戦と国内外のカップ戦を含めて公式戦で無敗を継続中。アウェイゴールに泣いたが、CL予選のプレーオフも2試合とも引き分けた。
国内リーグは5連覇中で、昨季はヨーロッパリーグ(EL)でベスト4に入っている。
かつては、ワールドカップ出場経験のある日本代表選手も所属した。現在も、現役日本代表選手がプレーしている。
この事実の羅列だけで、どのクラブのことか分かった方は、お見事。その名は、レッドブル・ザルツブルクという。
レッドブルマネーへの反応は微妙だが。
金にものを言わせて、というのは洋の東西を問わず嫌われるものらしい。今季ELの初戦には、冷ややかな視線が注がれた。
2匹の牡牛が角を突き合わせるという、まさにロゴマークのままの対決となった。
ともに有名なエナジードリンク会社の名を“冠する”RBライプツィヒとザルツブルク(UEFAの大会では、FCザルツブルクとなっている)。ともに「レッドブル」による投資で急激に力を伸ばしたクラブ同士の対戦に、UEFAもサッカーファンも眉をひそめた。
ルールに反する同一オーナークラブ同士の対決ではないか、と疑問視されたからだ。
最終的に問題ないと判断されたが、観る者のしこりは消えない。おそらく、ライプツィヒのイメージが悪いからだ。伝統を尊重しない革新的な金満クラブは1部リーグに初めて上がった2年前、「ドイツ1の嫌われ者」と呼ばれた。
実質的に母体が一緒の姉妹クラブであるザルツブルクは、ライプツィヒの悪印象の余波を受けたように思える。ライプツィヒとの対戦は「レッドブルダービー」と揶揄されたが、ファンの思いは違うようだ。