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メッシ「シャビを思い出すよ」。
バルサの新しい王様アルトゥール。
posted2018/10/17 10:00
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Uniphoto press
グレミオ時代のあだ名は「レイ・アルトゥール」。
つまり、「アーサー王」だ。
トップチームでレギュラーになったばかりの弱冠20歳に授けるものとしてはいささか大仰と思われるかもしれないが、ピッチ上のアルトゥールは当時から「支配する者」だった。堂々としたプレーには年齢に見合わぬ威厳もあった。
代理人ジョルジ・マシャドはいう。
「グレミオの育成部門では飛び級することなく全カテゴリーで鍛えられてきた。だから大舞台に立ってもプレッシャーを感じないんだ」
なるほど、10月3日のCLトッテナム戦を観た人なら納得するだろう。
荒れた試合を落ち着かせる18歳。
“ウェンブリー・スタジアム”にも“バルサでのCL初先発”にも全く怯まなかった彼は、圧巻のパフォーマンスで当夜のバルサの快勝に貢献している。
13歳のとき地元のゴイアスからグレミオに移ったアルトゥールは、名将ルイス・フェリペ・スコラーリに抜擢され、リオ・グランジ・ド・スウ州1部リーグのアイモレ戦で18歳にしてトップチームデビューを果たした。
そして翌'16年9月、レナト・ガウショがグレミオの監督に就くと、彼の前に王位への道が開けた。Bチームにいたところをレナトに目を付けられ、'16年のブラジル・セリエA最終節でチャンスを与えられたのだ。
「テクニックだけでなく戦術的にも優れている。パスの巧さが秀でているけれど、最も重要なのは荒れ始めた試合を落ち着かせることができる点だ」
アルトゥールのポテンシャルを認めたレナトは、'17年1月に新シーズンが始まると、彼をレギュラーメンバーの1人とした。念願のポジションを得たアルトゥールはまもなくグレミオの試合をコントロールするようになり、やがて戴冠した。